ブライアン弟 同症状のマリーへ「君なら戻れる」
◆テニス全豪オープン第3日(16日・メルボルン)
男子ダブルス4大大会通算史上最多16勝のブライアン兄弟(40)=米国=が、1回戦を快勝した。弟ボブは「ツアーの中で唯一、でん部に金属が入った状態でプレーしている」という立場として、同じ症状によるでん部の痛みで引退を検討しているアンディ・マリー(31)=英国=へ「手術をして戻って来てほしい。君ならできる」と熱い思いを語った。
マリーは今大会の開幕前の会見で、長年悩まされているでん部の痛みが原因で引退を考えていることを涙ながらに話した。1回戦後の会見では手術するか、手術せず治療するかなど複数の選択肢を模索中だと説明。同じ症状で関節置換手術を受けたボブに意見を求めたことも明かした。
「マリーは試合の後や練習の後、どう感じるのか聞いてきた。手術を受けた場合、復帰までにどの程度かかるかを測ろうとしていたんだと思う」
ボブは手術を勧めたわけではないという。
「彼にも言ったが、シングルスはダブルスとは別な“モンスター”だと思う。あちこちスライディングをして、自分自身を4時間近くも消耗させなくてはいけない。結合部がどうなるかは誰にも分からない。シングルスの素早い動きをすれば、壊れないとしても問題が起きるかもしれない」
自身は昨年8月に手術を受けた。9月下旬には軽いボールを打ち始め、12月には1セット分の試合に近い動きができるようになった。今季初戦のブリスベン国際で復帰し今大会が3大会目になる。執刀医は米大リーグやNBA、NHLの選手をトップレベルに復帰させることには成功していたが、テニス選手は経験がなかった。
「僕が言えるのは、今は感覚もよく、生活の質もよく、練習もうまくいっているということ。100%ではないけれど、まだ5か月しか経っていないから。医師は7、8か月すれば完全によくなると言っている。マリーにとって手術は最後の選択肢になるとは思うが、いい生活を送ってほしいのが願いだ。眠れて、歩けて、子供と一緒に遊べる。靴を履くのにストレスを感じない、そんな生活を」
マリーが引退を示唆した会見を見聞きし、自分が経験した境遇と重ね合わせて心を痛めた。
「息が詰まった。会見後は朝3時までSNS上の意見や記事を読んでいて眠れなかった。試合も見た。全てを出し切っていた。痛みのある選手が戦う姿を見るのはつらいが、彼は信じられないくらい戦っていたと思う」
執刀医の情報などは全て伝えた。
「彼は手術をして、おそらく戻って来てくれるだろう。テニスに何が起きるか保証はないが、僕は彼ならできると思う」
マリーは今週中にも手術するかどうか決めるとしている。
全豪オープンは14~27日、WOWOWで連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信