錦織圭、被エース59本もフルセット撃破「負けたな、と2、3回思った」

スポーツ報知

◆テニス4大大会初戦全豪オープン ▽男子シングルス2回戦 錦織圭3(6―3、7―6、5―7、5―7、7―6)2イボ・カロビッチ(17日・メルボルン)

 【17日=大和田佳世】男子シングルス世界ランク9位で第8シードの錦織圭(29)=日清食品=は、4大大会自身最多59本のサービスエースを奪われたがフルセットの死闘を制した。身長211センチのイボ・カロビッチ(39)=クロアチア=が打ち下ろす高速サーブに手を焼き、最終セットは今大会から導入された10ポイント先取のタイブレイクに突入。6―7のピンチから4ポイント連取で勝利をつかんだ。3回戦は44位のジョアン・ソウザ(29)=ポルトガル=と対戦する。

 勝利の瞬間、両手、両膝をコートについた錦織の姿が3時間48分の激闘を物語っていた。サービスエース59本を浴びながら、わずかな可能性から勝利をつかみとった。「負けたな、と2、3回思った。それを防いで挽回できた。うれしかった」。会場の8割を埋めた日本人ファンの声援に、両手を突き上げて応えた。

 最終セット10点先取のタイブレイク、6―7の窮地。不気味な静けさの中で勝機を探った。「サーブの読みさえ当たればチャンスはある」。コースが甘い213キロのサーブに反応し、7―7。体付近への第2サーブに踏み込み、バックで叩いて8―7。2本続けて好リターンできる精神力と勝負強さが、最後の最後に勝利を引き寄せた。

 今大会最長身211センチのカロビッチは強力なサーブを武器に、17年1回戦で大会最多75本のエースを決めたことがある。リターンが武器の錦織でも、平均204キロの第1サーブはコースに決まれば読めても触れない。第2サーブも定石なら球速を落とし確実に入れるが、錦織が「俺の第1サーブより速い」と驚く平均189キロで攻めてきた。

 敵のサーブが難攻不落なら、こちらも隙を与えられない。第1サーブを「入ると入らないで違う。すごく意識して」77%の確率で入れ、流れを手放さなかった。第1セットはサービスゲームで4ポイントしか落とさない理想の展開だった。しかし精度が落ちた第3、4セットの第11ゲームでブレイクされ、最終セット4―4の第9ゲームも0―40の大ピンチ。「第3、4セットと同じで嫌な感じはあったけど、第1サーブを入れれば可能性はある」と考え、3本連続成功しポイント獲得。ここでも高い集中力と勝負強さを発揮した。

 サーブに特化した展開を「バクチの読み合いみたいな試合だった」と息をついた。2試合連続のフルセットになったがラリーは短く「体力的には問題ない」と言い切った。異なるタイプの選手を攻略し勝つのも4大大会の難しさ。大きなヤマを乗り越え、また一歩前へ進んだ。

 ◆タイブレーク10点選手導入

 今大会から最終セットで6―6になった場合、10点先取のタイブレイク(TB)制が導入された。従来はどちらかが2ゲームリードするまで行っていたが、選手の負担軽減などを考慮し変更。TBはサーブが強い選手が有利とされ、錦織は「7点より10点の方がリターンに可能性が出る。10%くらい(勝つ)確率が上がる」と話した。全米オープンは最終セット6―6で7点先取のTB、ウィンブルドンは同12―12となった場合に7点先取のTBを実施するが、全仏オープンだけは行わない。

 全豪オープンは14~27日、WOWOWで連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。詳細はこちら

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