「山根マジック」20年前から審判に圧力か

スポーツ報知
アマチュアボクシング界に絶大な影響力を誇った山根会長

 日本ボクシング連盟の不正告発問題で、同連盟の山根明会長(78)の圧力による審判の不正判定疑惑が約20年前からあった可能性が3日、浮上した。告発状を提出した「日本ボクシングを再興する会」関係者が、山根会長が審判に圧力をかける「山根マジック」という言葉が以前から存在していたことを明かした。同会長はこの日、日本テレビ系「スッキリ」(月~金曜・前8時)などテレビ番組に相次いで出演し、反論した。

 山根会長が審判に圧力をかけるとされる不正判定疑惑。「日本ボクシングを再興する会」の宮崎県連盟副会長・菊池浩吉氏(54)は「実は20年くらい前からあったんですよ。当時から『山根マジック』と(言われていた)。私もそれで負けた。私が33、34歳の頃。国体でした」と現役時代の話を明かした。

 当時を振り返った菊池氏は「すごい表情だった」と、話す。そうした表情で山根会長が審判の書く試合記録を後ろからのぞき込み、自身が肩入れする相手選手側を勝たせるよう圧力をかけていたとみられるという。「当時は(山根会長が)奈良と近畿連盟の会長を兼任していた。(自分は)負けることはない内容だった」と苦い記憶で残っている。

 奈良判定以外の「山根マジック」も、昨年まであったとの話もある。関西学生リーグ1部での芦屋大―近大の試合について「日本ボクシングを再興する会」の別の関係者は「近大が勝っていたような試合も負けになった」と主張する。菊池氏は「山根会長が(2013年にボクシング部を)立ち上げるのに尽力した。影響しているのでは」と首をかしげた。

 山根会長は3日に複数のテレビ番組に出演し、審判のミーティングに「一切関わってない」と全面否定したが、同会関係者は「(ミーティングに)ガッツリ入ってます」と反論した。芦屋大―近大の試合では、山根会長は自身が懇意にする審判を関東から呼んで起用させたという。

 同関係者は「うちは証拠がありますから」と8日に都内で予定する会見で明らかにする方針だ。新たな疑惑も浮上する中、注目される。大会2日目の全国高校総体会場(岐阜)には、日本連盟・吉森照夫副会長の姿はなかった。

 ○…東京都の小池百合子知事は3日の記者会見で、日本ボクシング連盟の不正告発問題について、競技が20年東京五輪の種目となっていることから「メダルを取りに行く前の段階でエネルギーを使うのは極めてもったいない。関係者は立て直しに協力してほしい」と苦言を呈した。「そこ(連盟内部)での戦いではなく、世界との戦いで素晴らしい選手が育ち、メダリストが生まれることを期待している」とも述べた。

 ◆奈良判定 山根会長の出身地、奈良県の選手を負けさせてはいけないというもの。公式戦から排除されたという2人のA級審判員にスポーツ報知が取材したところ、山根会長の意に反した判定を下した審判には、以降の試合を担当させない、交通費が支給されずに帰宅させられるなどの措置が取られたという。レフェリーやジャッジなどを務めるA級審判員は全国80人で構成され、全日本選手権など国内最高峰大会には山根会長が選んだ20~30人が派遣されるという。告発状では、2度ダウンした奈良県選手が判定で勝利した試合もあったとしている。

 ◆山根 明(やまね・あきら)1939年10月12日生まれ、78歳。ボクサー経験の有無は不明。奈良県ボクシング連盟会長などを経て2011年、日本ボクシング連盟会長就任。終身(生涯)会長としている。強化委員会委員長、ナショナルチーム監督、アジアボクシング連盟常務理事も兼任。息子の昌守氏は日本ボクシング連盟副会長。

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