山中竜也、硬膜下血腫で現役引退…7月王座陥落直後に入院

スポーツ報知
7月13日、判定の末サルダールに敗れ王座陥落、肩を落とし引き揚げる山中竜也(中央)と真正ジム・山下会長(右)ら

 プロボクシングの前WBO世界ミニマム級王者・山中竜也(23)=真正=が硬膜下血腫のため現役を引退することが23日、複数の関係者の話で分かった。判定負けで王座陥落した7月13日の防衛戦直後に、症状が判明した。近日中にも正式発表され、引退会見を行う見通し。

 若くしてリングと決別することになった。山中は7月13日、ダウンを喫して判定負けしたビック・サルダール(フィリピン)との2度目の防衛戦後の控室では現役続行の意欲を見せていた。直後に頭痛を訴え、神戸市内の病院に入院。診察の結果、頭蓋内から出血する硬膜下血腫の症状がみられたという。

 幸い重症ではなく、手術は回避。7月中に退院し、日常生活には問題ない。だが、日本ボクシングコミッションの規定で「コミッションドクターから頭蓋内出血(硬膜下血腫等)と診断された場合、当該ボクサーのライセンスは自動的に失効する」と定められている。これを受け、真正ジム・山下正人会長(56)が引退勧告し、山中も受け入れた。日本人の歴代世界王者で頭蓋内の出血による引退は、1992年に脳内出血のため引退した平仲明信以来2人目。

 山中は中学時代に真正ジムに入門し、高校に進まずプロデビュー。同ジム先輩で元世界3階級王者・長谷川穂積氏(37)に憧れて、努力を重ね、的中率の高い多彩なパンチを武器に昨年8月、世界王座初挑戦初奪取。6人きょうだいの長男で、女手一つで育ててくれた母・理恵さん(47)ら家族とのストーリーも注目された。

 関係者によると、山中にはトレーナー転身の打診もあるが、今後は未定。志半ばでグラブを置くが、ボクシング史に確かな足跡を残して第2の人生を歩む。

 ◆硬膜下血腫 頭部打撲などにより頭蓋骨の内側で出血し、硬膜とその内側のくも膜との間に血液の塊ができること。くも膜のさらに内側に脳がある。症状は頭痛、眠気、記憶障害、言語障害、まひ等。急激に出血して数分から数時間で症状が表れる急性のもの、数週間から数か月あるいは数年たってから症状が表れる慢性のものなどがある。出血が多く重症の場合は手術を行う。死亡例も多数。

 ◆山中 竜也(やまなか・りゅうや)1995年4月11日、大阪・堺市生まれ。23歳。ボクシング漫画「はじめの一歩」に影響を受け、小学6年から地元の教室で競技を始める。中学2年で真正ジム入り。12年6月、17歳でプロデビュー。16年11月に東洋太平洋ミニマム級王座獲得。17年8月、WBO世界同級王座奪取(防衛1)。通算成績16勝(5KO)3敗。身長162センチ。右ボクサーファイター。家族は母、弟3人、妹2人。

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