山中竜也が引退会見「違う目標みつけて母に家を買いたい」

スポーツ報知
引退会見を行った山中竜也

 硬膜下血腫のため現役を引退する前WBO世界ミニマム級王者・山中竜也(23)=真正=が31日、神戸市内の同ジムで引退会見を行った。スーツ姿の前王者は「最初は自分のことじゃないようだったが、徐々に現実を受け入れている。早い引退になってしまったけど、支えて下さった皆さんに感謝している」とファンや関係者へ礼を述べた。

 7月13日のビック・サルダール(フィリピン)とのV2戦でダウンを奪われて判定負けした後に頭痛を訴え、神戸市内の病院へ緊急搬送。急性硬膜下血腫との診断を受けた。幸い大事には至らなかったが、頭蓋内での出血のため、日本ボクシングコミッションの規定により引退となった。

 山中は、自身以下6人きょうだいを女手一つで育ててくれ、試合前に食事面などでサポートしてくれた母・理恵さん(47)に向け「僕の夢に付き合ってくれた。ボクシングでは家を買ってあげられなかったけど、また違う目標を見つけて、その夢を達成できたら」と感謝。会見に同席した山下正人・真正ジム会長(56)は「引退を伝えるのはつらかった。努力で世界王者になった姿は、これからの選手に見習ってほしい」と、まな弟子に賛辞を送った。

 まだ23歳。山下会長からは同ジムトレーナー転身のオファーを受けているが、山中は今後のプランについて「全然決めていない。長い間ダラダラもできないので、なるべく早く探したい」と報道陣から花束を受け取り、笑顔で会見を締めくくった。世界のベルトを巻いた男はしばらく充電し、第2の人生をスタートさせる。

 ◆山中 竜也(やまなか・りゅうや)1995年4月11日、大阪・堺市生まれ。23歳。ボクシング漫画「はじめの一歩」に影響を受け、小学6年から地元の教室で競技を始める。中学2年で真正ジム入り。12年6月、17歳でプロデビュー。16年11月に東洋太平洋ミニマム級王座獲得。17年8月、WBO世界同級王座奪取(防衛1)。通算成績16勝(5KO)3敗。身長162センチ。右ボクサーファイター。家族は母、弟3人、妹2人。

 ◇硬膜下血腫 頭部打撲などにより頭蓋骨の内側で出血し、硬膜とその内側のくも膜との間に血液の塊ができること。くも膜のさらに内側に脳がある。症状は頭痛、眠気、記憶障害、言語障害、まひ等。急激に出血して数分から数時間で症状が表れる急性のもの、数週間から数か月あるいは数年たってから症状が表れる慢性のものなどがある。出血が多く重症の場合は手術を行う。死亡例も多数。

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