成松大介ド根性ファイトも銅 60年ぶり金メダルはならず

スポーツ報知

 ◆ジャカルタ・アジア大会(31日)

 ボクシングのライトウエルター級で、一連の日本ボクシング連盟を巡る騒動の渦中にあった成松大介(28)=自衛隊=が準決勝で昨年の世界選手権銀メダルのルクボルヨン・ホルダロフ(21)=ウズベキスタン=と対戦し、0―5の判定で敗れた。この階級の日本勢としては90年北京大会で三浦国宏が銀メダルを獲得して以来、28年ぶりの決勝進出を目指したが、惜しくも銅メダルに終わった

 29日のイラク選手と準々決勝でバッティングにより右側頭部をカット。医療用のホチキスで止血した上で、この日になってから患部を縫い合わせて試合へ。激痛に耐え、ブロックの上からでも「衝撃で患部が圧迫されてしまう」というリスクを背負いながら、3Rを戦い抜いた。

 「けがをしていたので、そんなに前に出るつもりはなかった。1ラウンド目は相手も出てこないだろうと思ってアウトボクシングした。この階級では一番強いヤツだったので、自分の思い描いているボクシングがどれくらい通用するのかという思いだった」

 ジャブを突いて距離を取りながらの戦いを強いられたが、1R目は5人中2人が成松を支持。ハンデを背負いつつの戦いが通用した部分もあった。「まだまだいけるなと感じた。一応僕のボクシングも評価されたので」と手応えも得た。

 金メダル獲得なら60年ぶりの快挙だった。「満足はしていないが、メダルを取ると取らないでは天と地の差がある。その部分はすごくよかった」

 自身への助成金を、日本ボクシング連盟が不正流用した件に巻き込まれ、注目を浴びた今大会。連盟は山根明会長が辞任するなど、新たなスタートを切ろうとしている。

 「(体制が)変わればよくなっていくんじゃないですか。それに期待するだけです」

 こう言って一度は取材を終えた成松だったが、数分後に、自らプレスルームを訪れた。傷の治療に尽力してくれたチームスタッフと、JOCの医療スタッフに感謝を述べるためだった。「先生方が頑張ってくれたおかげで、試合に出ることができた。出させてもらって感謝しています。それを書いてもらいたくて…」。ナイスガイは汗だくで報道陣にそれを告げて、小走りに戻っていった。

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