「奈良判定」など告発7項目を認定…第三者委員会が山根前会長を断罪

スポーツ報知
山根前会長

 助成金の不正流用など日本ボクシング連盟の一連の問題で28日、第三者委員会が都内で調査結果の報告会見を行った。7月に「日本ボクシングを再興する会」がスポーツ庁などに提出した数々の不正を指摘する告発状をもとに、山根明前会長(78)の疑惑の大半を“クロ”と判断。特定の選手に優位な判定となる「奈良判定」の存在も認定した。8日に新体制となった日本連盟は調査結果を受け、山根氏に対する刑事告訴や同連盟からの除名処分を検討する。

 山根問題は、ほとんどが“クロ”だった。第三者委は一部の選手をひいきしたとされる審判員の不正判定について、50人以上の審判員にメールでアンケートを送り、10人弱から直接話を聞いた。

 その結果、山根前会長らが「特定の集団に属する選手の一部を、接戦になった際は優遇するよう示唆していた」とした。意向に背いた場合は審判の割り当てを外す、帰宅させるなどの処分を行い心理的に追い込んでいたと指摘。2015、16年の全国大会で奈良県勢が好成績を収めたことを例に挙げ「公式試合において、自主性が阻害された審判が一部に存在したものと認められる」と結論づけた。

 一部の審判員は「明らかに白黒がはっきりしている試合だと、判定で余計なことをしなくて済んだとホッとする」と生々しく証言。僅差の試合では「(山根前会長が推す)選手のパンチが多く当たっているように感じてしまう」と話す審判員もおり、強大すぎるプレッシャーが錯覚さえ引き起こした事実も明らかになった。

 「山根前会長のキャラクターもあり、会長席で見ているだけで無言のプレッシャー」を感じると話した審判員もいた。第三者委の板橋喜彦弁護士によると、山根氏が推す選手に不利な判定が行われた場合は「『自分が見込んだ選手なのに何事か!』とひどく叱責した」という証言を確認。“見せしめ”を目撃した他の審判員は罰を恐れ、不当な判定を行わざるを得ない心理的状況に追い込まれたとした。

 山根氏本人にも4時間半ほど大阪でヒアリング。電話でも数回行い、第三者委の委員長を務めた梶谷剛弁護士は「山根明という特異な人物が日本連盟を支配していた。自分では『ボクシング愛』と話しているが、私からすれば偏愛」と断罪した。日本オリンピック委員会と日本スポーツ協会は10月5日に両団体で合同会議を開き、報告書の公平性や妥当性を確認する。

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