しずちゃん弟・山崎晴信、8日プロデビュー…姉の背中追いボクシング挑戦

スポーツ報知
デビュー戦に向け実戦練習をこなす山崎静代の弟・晴信(カメラ・豊田 秀一)

 元アマチュアボクサーで、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山崎静代(39)の弟・晴信(35)=エディタウンゼント=が8日、プロデビュー戦を迎える。大阪・淀川区民センターで、市川友也(22)=アポロ=とのスーパーミドル級(76・2キロ以下)契約4回戦。90キロ以上あった体重を絞り込んで実戦練習に励む晴信は、かつて五輪を目指した姉からゲキを飛ばされ、デビュー戦勝利を誓った。

 重量感のあるパンチの音が、ジム内に響いた。晴信が力強い右ストレートを村田英次郎会長(61)のミットに打ち込む。昨春のジム入門当時に90キロ以上あった体重は80キロを切り、精かんな顔つきに。他ジムへスパーリングの出稽古を重ね、「腹の肉がなくなったのでよく動ける。ムキになって打ち合ってしまうところが課題」と充実した表情で汗を拭った。「姉も仕事がなければ見に来てくれる。『タイマンを張るつもりでやれ』と言われた」と“ルールのあるケンカ”に挑む覚悟はできた。

 3人きょうだいの末っ子。長女で元陸上選手の忍さん(41)とは「衝突することもなかった」というが、次女の静代とは小学生時代に殴り合いのケンカもした。「よく負かされた。僕が高学年になり、体格で追い越してからはケンカもなくなった」と懐かしそうに振り返った。

 その静代が12年ロンドン五輪出場を目指した姿は、今も脳裏に焼き付いている。姉の夢は破れたが、弟は「皆で感動を分かち合えるのがいいなと思った」と個人競技とはいえ、周囲のサポートを受ける“チーム戦”の要素があるボクシングの素晴らしさを感じた。「運動音痴克服のために」昨春から本格的に始めた。ジムの同僚に刺激を受けて、年齢制限上限の34歳でプロテスト挑戦。昨年9月の1回目はダウンを奪いながらも不合格だったが、同11月に2回目の受験で合格した。

 6月にプロデビュー戦が決まると、週5日の介護の仕事を続けながら、大阪・万博公園を毎日10キロ走り込んだ。静代からは「勝ちたいと思うな。負けないぞと思え」と勝ち気にはやる自身への助言があったという。現役時代に4度世界挑戦した村田会長も「絶対にガードは上げておけ」と弟子のディフェンス面を心配する。

 同じくデビュー戦の相手・市川は現役大学生。ひと回り以上も若いが、晴信は「まず自分が4ラウンドを戦い抜くこと。パンチが当たれば倒せるかも」とKOの自信もチラリ。しずちゃん弟が運命のリングに立つ。(田村 龍一)

 ◆しずちゃんとボクシング

 ▽08年6月 女子ボクシングが舞台のNHKドラマ「乙女のパンチ」で主演を務め、本格的に競技開始

 ▽09年2月 アマチュアC級ライセンス取得

 ▽11年9月 ミドル級でロンドン五輪出場を目指し、公式戦デビュー。台北市カップ国際トーナメント初戦で台湾選手に判定負け

 ▽12年2月 全日本女子選手権(広島)で優勝

 ▽同5月 五輪出場権をかけ、世界選手権(中国)出場も3回戦でドイツ選手にRSC負け。五輪出場が消滅

 ▽13年7月 専属トレーナーを務めた梅津正彦氏が悪性黒色腫のため44歳で死去

 ▽14年11月 世界選手権(韓国)初戦でエジプト選手に判定負け

 ▽15年10月 体力の限界を感じ、リオ五輪出場を断念。現役引退会見を行う

 ◆山崎 晴信(やまざき・はるのぶ)1983年2月4日、京都・福知山市生まれ。35歳。大阪・茨木市で育ち、北陽高時代はサッカー部でDF。追手門学院大に進学後、運動はジョギング程度だったが、昨春にエディタウンゼントジム(高槻市)に入門。身長181センチの右ファイター。家族は両親と姉2人。

スポーツ

×