【山中慎介ジャッジ】井上尚弥、強い…粘り強いパヤノでも話にならなかった

スポーツ報知
1回1分10秒、パヤノに左右のワンツーを打ち込みKO勝ちした井上尚弥(カメラ・森田 俊弥)

◆プロボクシング世界戦 WBA世界バンタム級タイトルマッチ ○王者・井上尚弥(1回1分10秒、KO)同級4位フアンカルロス・パヤノ●(7日、神奈川・横浜アリーナ)

 井上の強さにあ然とさせられた。世界に強烈なインパクトを与えるKOだ。相手との距離感は何度かパンチを出すことでつかめてくるものだが、井上は左ジャブを出すと、迷いなく右ストレートを打ち込んだ。感覚的なものがあるとはいえ、序盤から距離を測り、正確にパンチを当てるのは難しい。もう完璧としか言いようがない。

 パヤノは粘り強く、また頭ごと突っ込んで来たりもする荒々しい選手なので、井上に対し、どこまでできるかと思ったが、話にならなかった。1ラウンドにもらうパンチは非常に効く。体がほぐれておらず、実際の相手のパンチ力も分からない。警戒していたはずだが、そこに井上のパンチ。無防備にも見えたパヤノはジャブをもらい、井上の右ストレートが見えなかったと思う。

 私もバンタム級で長らくやってきたが、井上の攻撃力は圧倒的だ。階級を軽く超えている。下半身の強さを拳にうまく乗せているのが井上の強打の秘けつ。転向2戦目だが、穴が見当たらない。

 WBSSの次戦は、IBF王者のロドリゲスが勝ち上がってくるだろう。しかし今大会、もう敵はいないんじゃないか。(元WBC世界バンタム級王者)

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