井上尚弥のいとこ、浩樹が負傷を隠して強行出場…元米兵とのサバイバルマッチに勝利

スポーツ報知
スーパーライト級で勝利した井上浩樹

◇プロボクシング「チャンピオンカーニバル挑戦者決定戦」(12日、東京・後楽園ホール)

 6階級が行われ、スーパーライト級8回戦は、WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(25)のいとこ、同級1位の浩樹(26)=ともに大橋=が、同級2位の元米兵、マーカス・スミス(33)=平仲=に3―0の判定で勝ち、自身初の日本タイトル挑戦切符を獲得した。浩樹の戦績は12勝無敗(10KO)、マーカスはプロ初黒星の6勝(6KO)1敗1分け。

 リングサイドで尚弥が見守る中で熱闘を演じた。同じサウスポーのマーカスの左右の強打をガードしながら、カウンターを狙い、6回には左ストレートでダウンを奪取。しかし、得意の右アッパーがほとんど出ずに辛勝した。浩樹は試合後、右ひじと左足裏にけがを抱えて強行出場していたことを明かした。オーバーワークで右肘はけんしょう炎に、左足裏は筋膜炎に。大橋会長からは「直前まで『棄権しよう』と言われていた」が、強行出場に踏み切った。

 1回にガードした右ひじに強打を食らい「痛みが出た」が、根性で戦い続け、元米兵に競り勝った。浩樹は「練習もまともにできなかった。けがをするなんてプロ失格。不安の中で試合に挑んでしまいました。楽しみにしていた方々をガッカリさせた」と言うと、タオルで顔を隠し、悔し泣きした。

 6回開始前には尚弥がリングサイドまで駆け寄り、けがの事情を知りながらも「手数が出ていない。もっと見せろ」と尻を叩かれた。6回終了間際に意地でダウンを奪ったが、追いつめることもできなかった。大橋会長によると、スパーリングは昨年9月から「4~5回」しかできなかったという。悔し泣きする弟子を大橋会長は「よく頑張った。100点満点だよ。痛かったらタオルを投げるから合図しろと言ったが戦い抜いた」とたたえた。

 来春開催予定のチャンピオンカーニバルへの初の出場権を獲得。日本王者・細川バレンタイン(37)=角海老宝石=のV2防衛戦にアタックスするための戦いで生き抜いた浩樹は「しっかり治して挑戦したい」と涙をぬぐい、引き締めた。

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