“リケダン”坂本真宏、国公立大ボクサー初の世界挑戦 文武両道チャンプへ「ぶっ倒して勝つ」

スポーツ報知
大みそかに世界初挑戦する大学院生ボクサーの坂本真宏は、王者ムザラネの写真を手に、学生服とだてメガネ姿で会見に臨んだ(カメラ・田村 龍一)

◆プロボクシング トリプル世界戦 ▽IBF世界フライ級タイトルマッチ 王者・モルティ・ムザラネ―同級15位・坂本真宏(12月31日、マカオ・ウィンパレス)

 IBF世界フライ級15位で、大阪市大大学院生ボクサーの坂本真宏(27)が、大みそかにマカオで同級王者・モルティ・ムザラネ(36)に挑戦すると5日、所属の六島ジムが発表した。国公立大出身ボクサーの世界挑戦は国内初。早くも勝てば来年、同大学体育館で初防衛戦を行うプランも浮上。工学研究科に在籍する坂本はキャンパス内で会見し「ぶっ倒して勝つ」と文武両道チャンプを目指す。

 学生服姿で会見した坂本が国公立大出身ボクサー初の世界奪取を誓った。「挑戦実現にこぎつけてもらい、感謝し切れない。皆さんの思いを背負って頑張りたい」。大阪市大の荒川哲男学長(68)は「文武両道という大学の伝統の最先端を歩んでいる。坂本君に勇気をもらう学生もいるはず」と期待を寄せる。

 幼少からけんかとは無縁だったが、格闘技に興味があり、大学でボクシングを始めた。一日の始まりは午前6時からのロードワーク。大学院の工学研究科で機械物理系を専攻し、同10時から午後6時まで研究に没頭し、夜はジムワークに励む。将来はロボット作りなどエンジニアを目指す。修士論文は「陽極酸化チタン中空シートの水熱法による窒素ドープ」が題材で執筆中だ。大学のボクシング部は部員減で廃部危機にあり、「世界を取れば来春、部員が入るかも」と発奮材料にする。

 今回の世界挑戦に数千万円の費用が必要だったが、5日時点で同大学OB・鳥井信治郎氏が創業者のサントリーホールディングス、OBの尾山基氏が代表取締役社長CEOのスポーツ用品大手のアシックスなど大阪市大にゆかりある9社がスポンサーに手を挙げた。勝てば初防衛戦を大学の体育館で行う計画が上がるほど大学を挙げて盛り上がっている。

 ムザラネは試合数で坂本の3倍近いキャリアがあり堅守だ。下馬評不利は否めないが、坂本は「感謝の気持ちを力に変えて王者になる」。自慢の右ストレートで夢をつかむ。(田村 龍一)

 ◆大阪市立大学 1880(明治13)年、前身の大阪商業講習所創立。市立大阪商業学校、大阪商科大学高等商業部を経て1949年から現大学名。通称「いちだい」。2006年から公立大学法人。商、経済、法、文、理、工、医、生活科学の8学部。杉本と阿倍野の2キャンパス。学生数6553人(17年10月時)。主なOBに鳥井信治郎(サントリー創業者)、開高健(芥川賞作家)、南部陽一郎(ノーベル物理学賞)、橋本英郎(元サッカー日本代表)。

 ◆坂本 真宏(さかもと・まさひろ)1991年1月19日、大阪・堺市生まれ。27歳。泉北高から1浪で大阪市大工学部に合格し、ボクシング部で競技を始める。2014年12月、六島ジムからプロデビュー。15年度全日本フライ級新人王。16年11月、WBOアジアパシフィック同級王座決定戦で後の世界王者・木村翔(青木)に0―2の判定負け。17年12月、同王座獲得(防衛1)。身長164センチ、右ボクサーファイター。家族は両親と兄。

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