比嘉大吾、現役続行へ 4月世界V3戦で体重超過…ライセンス無期限停止

スポーツ報知
現役を続行する比嘉大吾

 ボクシングの前WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(23)=白井・具志堅スポーツ=が現役続行の見通しであることが6日、分かった。4月の3度目の防衛戦前日計量で、国内の世界戦では日本人初の体重超過を犯して王座剥奪。日本ボクシングコミッション(JBC)にボクサーライセンスの無期限停止処分を受けていた。しかし、競技活動継続の意思を持って既に練習を再開し、JBCも処分解除を検討。日本のホープと期待された若き逸材がリング復帰へ向かう。

 比嘉がはい上がろうとしている。一時は闘志を失ってリングから離れた生活を送っていたが、9月に他の選手との海外合宿に参加するなど、少しずつ気持ちが傾いていた。12月に入り、関係者は「やる方向だと聞いている」と証言。既に所属ジムとは別の場所で強度の高い練習に励んでいる。

 フライ級(50・8キロ以下)で約11キロの減量に苦しみ、4月14日の前日計量で900グラムの体重超過。国内の世界戦では日本人初の失態だった。強行された試合は9回TKO負け。同25日にJBCからライセンスの無期限停止処分を受け、日本で試合ができなくなっていた。

 本人の闘志が再燃したことを受け、JBC関係者は「彼は日本の宝。あれだけの逸材を死なせるわけにはいかない」と処分解除を検討。復帰の場合は1階級以上転級させる「階級変更命令」の処分も下しており、スーパーフライ級(52・1キロ以下)以上での復帰が絶対条件となる。同じ事態を招かぬよう、JBCは比嘉との面談を求めており、階級、減量方法、指導体制など今後の計画を聞き取り調査した上で判断する方針だ。

 比嘉は5月にWBCフライ級の世界ランクから外れたが、12月1日に発表された最新順位では、WBAのスーパーフライ級で6位に入っている。10月7日に横浜アリーナで行われた世界戦を生観戦。約半年ぶりに公の場に姿を見せ「(9月の海外合宿は)全然動けなかった。(今後は)まだ何も考えていません」と話していた。

 昨年5月に王座奪取し、今年2月に2度目の防衛に成功した。日本記録に並ぶ15戦連続KO勝利を挙げるなど、強打ぶりを発揮。好戦的でファンに好まれるファイトスタイルは、海外メディアにも「Beast(野獣)」と呼ばれるほど世界的に高い評価を受け始めていた。日本の誇るハードパンチャーが、再びリングで暴れるかもしれない。

 ◆比嘉の体重超過の経過◆

 ▼4月14日・前日計量 フライ級リミット50.8キロを900グラム上回る51.7キロ。

 ▼同14日・再計量 2時間の猶予が与えられたが、制限時間30分前に具志堅用高会長がギブアップを宣言。王座剥奪。

 ▼同15日・当日計量 午前8時に行われ、リミットはフライ級の50.8キロから4.5キロ増の55.3キロに設定。54.7キロでパス。

 ▼同15日・試合前計量 相手のロサレスを600グラム上回る56.4キロで試合へ。防戦一方になったところで、陣営がレフェリーに棄権を申し出て9回1分14秒のTKO負け。腎臓などにダメージを負い、検査のため病院に直行。数日間入院した。

 ▼同25日・処分発表 JBCが、永久追放となるボクサーライセンスの「剥奪」の次に重い「無期限停止」、階級変更命令、ファイトマネー相当額の20%を制裁金として徴収、管理責任として陣営に戒告処分を下した。

 ◆比嘉 大吾(ひが・だいご)1995年8月9日、沖縄・浦添市生まれ。23歳。沖縄・宮古工高でボクシングを始める。アマ戦績は36勝(8KO)8敗。高校卒業後に上京し2014年6月にプロデビュー。15年7月、敵地タイでの王座決定戦でWBC世界ユース・フライ級王座獲得。16年7月、東洋太平洋同級王座奪取。17年5月、WBC世界フライ級王座奪取。18年4月の計量失敗で王座剥奪。身長161センチの右ファイター。

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