井上尚弥“中米の井上尚弥”ロドリゲスとの怪物対決制し日本人英国初勝利だ

スポーツ報知
スパーリングでキレのある動きを披露した井上尚弥(カメラ・能登谷 博明)

◆プロボクシング 世界戦 WBSS準決勝 ▽WBA・IBF世界バンタム級王座統一戦 WBA王者・井上尚弥―IBF王者・エマヌエル・ロドリゲス(5月18日、英スコットランド・グラスゴー、SSEハイドロ)

 WBA世界バンタム級王者・井上尚弥が16日、横浜市内の所属ジムで会見し、他団体王者らとトーナメント方式で争う「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」の準決勝を5月18日に英スコットランド・グラスゴーのSSEハイドロで行うと発表した。自身初上陸となる英国では、日本人が世界戦で過去5戦全敗。19戦全勝のIBF王者エマヌエル・ロドリゲスとのチャンピオン対決で欧州初勝利を狙う。

 モンスターに不吉なデータは関係ない。英国での日本人の世界戦は5戦全敗。欧州で勝利を挙げたことはなかった。しかし、井上は「欧州で試合ができるのでワクワクしている。今、ボクシングが盛り上がっている場所」と胸を躍らせる。ロドリゲスはプエルトリコ人のため中立国だが、飛ぶ鳥を落とす勢いの井上が負の歴史を塗りかえるはずだ。

 19戦全勝を誇るIBF王者との団体統一戦は、ハイレベルな技術戦が予想される。陣営の大橋秀行会長(53)は、中間距離での戦いを得意とするロドリゲスを“中米の井上尚弥”とイメージし、「モンスター同士の戦いになる」と警戒する。フェイントのかけ合い、日本人にはない角度のアッパーや左フックに井上も「すごい。技術戦が楽しみ」と心待ちにする。

 実は“先制パンチ”を打っている。昨年10月に初戦を突破した井上は2週間後にロドリゲスの初戦を米国で生観戦し、試合後のリング上でフェースオフ。「目を合わせて気持ちの弱さを感じた。何に対しての弱さか分からないけど、威圧感を感じなかった」と構え合った瞬間に分かるボクサー特有の感覚を説明。相手は目をそらすなどしたが、自身は「対戦相手と向き合う時に気持ちを出す」と“威嚇”して帰国した。

 会見後に4回のスパーリングを披露。17日には4泊5日のグアム合宿に出発する。「真剣勝負の殴り合いなので、何があるか分からない。毎試合ギリギリのラインで戦っているので楽ではない」と慢心はない。勝てば日本人4人目の統一王者。モンスターがボクシング発祥の地・英国に殴り込みをかける。(浜田 洋平)

 ◆SSEハイドロ 2014年に設立された多目的アリーナ。最大収容人数1万3000人。2015年10月に体操世界選手権が行われ男子個人総合で内村航平が6連覇を達成。男子団体でも日本が37年ぶり金メダルを獲得した。

 ◆日本人の英国開催世界戦 英国人相手に過去5戦全敗。1968年に関光徳(新和)がWBCフェザー級王座決定戦で9回TKOで敗れた。2014年11月に大竹秀典(金子)がWBAスーパーバンタム級挑戦で判定負け。15年6月に岩佐亮佑(セレス)がIBFバンタム級暫定王座決定戦で6回にTKOされた。17年5月WBAスーパーフライ級挑戦の村中優(フラッシュ赤羽)は判定負け。同10月には石田匠(井岡)もWBA同級王座に挑み、判定で敗れた。

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