【山中慎介ジャッジ】田中恒成は田口が序盤飛ばさないといけない状況に追い込んだ

スポーツ報知
4回、田口良一(中)の顔面をとらえる田中恒成(カメラ・谷口 健二)

◆プロボクシング▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ○田中恒成(判定3―0)田口良一●(16日、岐阜メモリアルセンターで愛ドーム)

 WBO世界フライ級王者・田中恒成(23)=畑中=が、挑戦者で元WBA、IBF世界ライトフライ級王者・田口良一(32)=ワタナベ=を3―0の判定で下し、初防衛に成功した。

 緊張感のある試合だった。倒せはしなかったが、田中はいい戦い方ができたと思う。日本人同士、初防衛戦のプレッシャーをどう克服するかではなく、田口とどう戦うかということだけ。ただ、これだけ差が開くとは思わなかった。私の採点も117―111。田口も強さは見せた。しかし、田中の強さが際立っていた。

 予想とは違う流れだった。田口は序盤は接戦、スタミナを生かして後半勝負という形には持ち込めなかった。3回までに飛ばしすぎ…いや、飛ばさないといけないという状況にチャンピオンが追い込んだということだ。田中は序盤こそ動きは硬かったものの、ボディーなどは的確に入っていた。3回に相手の右でバランスを崩したが、これは後を引くようなパンチではなかった。

 4回以降、ダメージを見せ始めた挑戦者に対し、田中はペースアップし、体もほぐれてきて、後半はリズムも軽くなった。9回は田口に反撃のチャンスがあったが、パンチの強さ、的確さは田中の方が上だった。前回、今回と日本人対決が続き、精神的にもきつかっただろう。改めて力のある選手だと思った。(元WBC世界バンタム級王者)

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