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きっと宝になる生観戦…美しかった宗兄弟

2018年7月31日12時0分  スポーツ報知
  • 双子の宗兄弟(左が弟の猛氏、右が兄の茂氏)

 今週から隔週で五輪担当・高木恵キャップのコラムを掲載。さまざまな人、出来事から東京五輪への思いをつづります。

 夏の思い出といえば、宗兄弟が真っ先に浮かぶ。双子のマラソンランナー。もう30年近く昔のことなのに鮮明に光景が浮かぶのだから、子供の頃の記憶って偉大だ。最近じゃあ、昨日の行動さえ思い出せないというのに。

 スポーツの生観戦というものに、ものすごく憧れた。北海道の田舎町では、いつもテレビ観戦。箱根駅伝中継を窓の外の景色と見比べながら、東京の正月は雪が降らないことを学んだ。そんな田舎町は「合宿の里」として、陸上界ではちょっと知られた存在だ。

 宗茂、猛兄弟も常連だった。隣町まで20キロ、往復40キロのマラソンコース、というか、人もいなければほとんど車も走らないアスファルトの道がある。真夏の練習日。宗兄弟がロードに出た。「今、宗兄弟が隣町の朝日の方に向かって走っていった」。大スターの登場に近所は大騒ぎだ。折り返しを期待し、沿道にぞろぞろと人が集まった。

 「来ないべさ…」。半分で切り上げたのでは。諦めムードが漂うなか、2つのほっそりとしたシルエットが遠くに見えた。あっという間に近づき、目の前を通り過ぎていった。美しかった。生で味わうスピード感は想像をはるかに超えていた。無駄のない、しなやかな走り。あんなふうに走りたいと思った。その後、陸上部に青春をささげた日々の支えとなった。「どっちが茂だ? どっちが猛だ?」。そんな会話に盛り上がる大人たちの目もキラキラしていた。

 東京で今、思う。スポーツ観戦の機会に恵まれていることの素晴らしさを、多くの人に知ってほしい。2年後、五輪がやってくる。自国でのオリンピック。こんな機会は人生に1度あるかないか。生観戦しないなんて、もったいない。多くの子供たちの心に残る、その後の人生の宝となる出会いがきっとある。

 ◆高木 恵(たかぎ・めぐみ)北海道・士別市出身。1998年報知新聞社入社。整理部、ゴルフ担当を経て、2015年から五輪競技を担当。16年リオ五輪、18年平昌五輪を取材。

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