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御嶽海、「母ちゃんの方がアイドル」マルガリータさんに人気で負けた

2018年8月3日15時0分  スポーツ報知
  • 名古屋場所で初優勝、本紙を手にガッツポーズする御嶽海

 3横綱1大関不在だった混迷の大相撲名古屋場所を関脇・御嶽海(25)=出羽海=が初制覇してから1週間。早くも7月29日の岐阜・大垣市から夏巡業が始まった。

 やはり、御嶽海の人気急上昇ぶりはすさまじかった。初賜杯を抱いてから多忙な時間を過ごし、地元の長野・上松町の実家に立ち寄ることすらできないまま巡業に参加するハードスケジュールだったという。疲れていないはずはないが「これも力士の仕事」と涼しい顔。早くも「角界の顔」としての自覚がのぞいた。

 今巡業は8場所連続休場からの復活を目指す稀勢の里(田子ノ浦)、白鵬(宮城野)、鶴竜(井筒)の3横綱だけでなく、貴乃花親方(元横綱)も帯同。角界の人気、実力者が多数そろう中、巡業のどこへ行っても、ちびっ子からお年寄りまでが「御嶽海コール」だ。「おかげさまで引っ張りだこ。いつも『御嶽海、御嶽海』と言われるし、優勝を祝福してくれるのはうれしい限りです」。取組直前まで、可能な限りサインと記念写真に応じる。時には赤ちゃんを抱っこして、ほっぺにキスのプレゼントまで。感激する両親の姿が本当に印象的だった。険しい表情で近寄りがたいオーラを漂わせる力士も多いが、その神対応ぶりには頭が下がる。

 そんな御嶽海が唯一、人気で負けを認めたのが、フィリピン出身の美人母・マルガリータさん。愛息が初優勝を飾ってからというものの、メディア露出が激増。優勝祝賀会では御嶽海を差し置いて記念撮影が殺到したといい、「一緒に撮りたいから母ちゃんを連れてきてとか、俺が(母の)プラスアルファの存在だった…」と嘆いたほどだ。地元スーパーの1日店長のオファーも来たそうで、「母ちゃんの方がアイドル。負けた気がする」と苦笑いを浮かべるしかなかった。

 これまで、周囲からは稽古嫌いと思われるほどのマイペース主義で土俵にいる時間は少なかったのも事実。それが初V効果か、夏巡業2日目の朝稽古序盤から土俵に上がって、幕下以下の力士にぶつかり稽古で胸を出す毎日だ。春日野巡業部長(元関脇・栃乃和歌)から「『教えてやれ』って言われたから。(若手にも)示しをつけないといけない」と照れ隠ししたが、これも秋場所(9月9日初日・両国国技館)で初の大関取りに挑む責任感だろう。

 長野県出身力士の優勝は、1909年の優勝制度導入後では初。それ以前では江戸時代、326戦して10回しか負けなかった伝説の力士・雷電が最後に優勝に相当する成績を残して以来208年ぶりだった。25歳の俊英は30代が多くを占める現在の横綱、大関陣への刺激にもなるだろう。

 その世代交代の息づかいを間近で感じられるのが、26日まで行われる長丁場の夏巡業だ。連日、支度部屋に群がる報道陣に「もう~、来るのは1日3社までにしてよ」と冗談を飛ばしながらも、「みなさんも暑いよね。疲れちゃうよね。でも頑張るよ」と笑顔だけは絶やさない。

 母自慢のココナツミルクと鶏肉たっぷりのフィリピン風カレーが大好物だ。心落ち着く長野の実家で、いつ口に運べるのだろうか。こちらの心配を吹き飛ばしてしまうほどの、2018年後半の快進撃を期待したい。(大相撲担当・小沼春彦)

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