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池江璃花子の2020年へ続く水中浪漫飛行

2018年8月14日12時0分  スポーツ報知
  • 制服を着た池江璃花子は、プールサイドとは違って無邪気な笑顔も見せる高校3年生だ

 浪漫のある人生は楽しい。4月の競泳日本選手権。毎日のように繰り返された「日本新記録です~」のアナウンスと大歓声に耳を傾けながら、記者仲間の一人が恍惚(こうこつ)の表情で言った。「池江璃花子は浪漫の塊やな…」

 2015年世界選手権に出場が決まった15歳の池江は、世界のトップ選手の名を挙げられず、五輪についても記憶もあいまい。「五輪に行けるなんて(イメージは)絶対になかった。ここまで成績が伸びると思わなかった」。世界の舞台を味わうごとに発言も進化。今ではライバルを名指しし、「メダル」と「世界記録」が目標と言い切るまでになった。

 春にインタビューをする機会に恵まれた。100分の1秒を極めるとは、どんな境地なのだろう。「泳いでいる時は何を考えているの? 魚の気持ちがわかる?」。まぬけな質問を、池江は受け止めてくれた。「ゾーンに入る瞬間があるんです。その時は鳥肌が立ちます。みんなが自分を見ているような、『自分が主役!』みたいな感じで泳げます。魚はこんな感じなんですかね?」。期待や重圧を力に変えられる選手は強い。

 「今は泳ぐことが楽しい」と無邪気に笑った後、大好きなチョコレートについて熱く語りだした。味の違いによって、パッケージが色分けされている板チョコが最近のお気に入り。「マイルド系とビター系、どっちが好きですか? マイルド系? だったら赤!」。スタート台で見せるりりしい表情もいいが、女子高生らしい愛くるしい一面も魅力的にうつる。

 「世界のトビウオ」になりたいと言って臨んだパンパシフィック選手権は、100メートルバタフライで主要国際大会初の金メダルを手にした。水面を跳ねる姿は、まさにトビウオ級の美しさ。「今までで一番大きい自信をつかむことができた大会」は通過点。2020年へ、池江の水中浪漫飛行は続いていく。(記者コラム・高木 恵)

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