•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

4つの「強い」を目指して…茨城ロボッツが東京でホームゲームを開催した理由

2018年9月17日14時30分  スポーツ報知
  • 東京・豊島体育館でホームゲームを行い、逆転勝ちした茨城ロボッツ(中央は堀オーナー)

 ここはどこだろう? 不思議な感覚に襲われた。死にたいくらいに憧れた花の都・大東京にいるはずなのに、目前に広がる光景はサイバーダイン茨城ロボッツの本拠地・水戸市の青柳公園市民体育館の熱狂そのものだったからだ。ホームとしか言いようのない大歓声をバックに、茨城ロボッツは八王子ビートレインズとのプレシーズンマッチに89-84で逆転勝ちした。全力プレーを見せた選手たちに、万雷の拍手は鳴りやまなかった。

 9月3日、東京・豊島区立豊島体育館の客席は、バスケットボール男子のBリーグ2部・茨城ロボッツを応援する人々で埋まっていた。最前列にはBリーグ・大河正明チェアマンの姿もあった。地方のチームが東京をホームにして試合を行うのは、極めて異例だ。堀義人オーナーは熱っぽく、その意義を語った。

 「茨城ロボッツは4つの『強い』を目指しています。強いチーム、強いスタッフ、強いブースター、そして『強いスポンサー』です。私たちが目指しているのは鹿島アントラーズの姿なんです。地域に根ざすのはもちろんですが、茨城県外でも最も多いブースターがいて、県外でも最も多いスポンサーに支えていただくチームになりたいと思っています。そのためにも経営努力が必要だと思っていますし、そういう意味でもどんどん多くの人々に会い、接触して、素晴らしいブースターやスポンサーを集めていきたいと思っています」

 実はこの日の試合は非公開。客席に集ったほとんどが人々はロボッツのスポンサー関係者だった。創業地が水戸という縁もありながら、東京・丸の内に本社があるアパレル大手・アダストリアの社員や、堀オーナーが経営大学院学長を務めるグロービスの従業員が喉を枯らして、声援を送った。

 応援してくれる企業の人々と顔を合わせ、しっかりと感謝を伝えたい。ロボッツがどんなチームか、もっと知ってほしい。1泊2日の東京遠征は、そんな思いから実現した初の試みだった。茨城ロボッツの山谷拓志社長は言う。

 「東京に本社を構える企業の皆さんは、なかなか水戸やつくばに来られない方も多いので、平日の夜、仕事帰りにぜひ見に来ていただけるようにと思ったんです。地域に根ざしながらも、チームの魅力や強さという部分で、東京在住の方々にも応援していただけるようなチームを目指していきたいなと思っています」

 こだわりも強烈だった。本拠地と同様のPAが場内を盛り上げ、華麗なダンスチーム「RDT」が笑顔で熱戦を彩った。何よりも堀オーナー自らが客席を鼓舞し、得点のたびに観衆とハイタッチを繰り返す光景には、度肝を抜かれた。試合が進むたび、空気が「できあがり」、一体感が醸成されていくのが分かる。明るく、楽しく、激しいロボッツの魅力を存分に味わい、もっとチームを好きになってほしい-。ほとばしる熱意が伝わってきた。

 ジャンルを問わず、どのプロスポーツのチームにとってもスポンサーの獲得は重要課題だ。地域に根ざし、熱狂を生み出すチームの姿をそのまま東京に持ち込んだ今回の試みは、とても意義深いものがあったと思う。

 百聞は一見に如かず。どんなにデジタル化が進もうとも、やっぱりライブの熱にはかなわない。選手とフロントが一つになって「強さ」を目指すロボッツのこれからを体感するため、秋からも会場へと足を運んでいきたい。(記者コラム・加藤 弘士)

コラム
今日のスポーツ報知(東京版)