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前田日明をびびらせた横綱・輪島伝説…金曜8時のプロレスコラム

2018年10月19日8時0分  スポーツ報知
  • タイガー・ジェット・シンにストンピングを見舞う輪島さん(1986年11月1日のデビュー戦)

 8日に亡くなった大相撲第54代横綱の輪島大士(本名・輪島博)さん(享年70)のプロレス時代の話を先週に「横綱レスラー・輪島がいたから新生UWFが生まれた!?」として書いた所、大きな反響を頂いたので、今週も“輪島伝説”です。

 まず、先週に掲載した写真「キラー・カーンにスピニング・トーホールドを決める輪島大士」が話題になった。カーンを攻める輪島にチョップを見舞う阿修羅原という珍しい構図。資料室から発見した1枚だが、どんな試合だったのかというリクエストをもらった。調べてみると、1987年1月25日の全日本プロレス新春ジャイアント・シリーズ東京・後楽園ホール大会のセミファイナルだった。

 対戦カードは6人タッグマッチで、ジャンボ鶴田、天龍源一郎、輪島大士VSキラー・カーン、阿修羅原、鶴見五郎。プロレスを連日報じていない報知新聞に、なぜこの試合の写真が、残っていたのか。実は記事になっていたのだった。翌26日付のスポーツ面の下の方に4段の囲み記事として載っていた。

 「6人タッグで強烈アピール どうだ!! 輪島ケンカ殺法」という見出し。結果は10分31秒、鶴田が鶴見を体固めで仕留めている。輪島は「“極悪トリオ”に一歩もヒケをとらず、最後はカーンと場外乱闘でもつれ合うなど、先輩格の鶴田、天龍のお株を奪うたくましいファイトで満員のファンを喜ばせた」とある。

 長州力の離脱直前で、天龍が鶴龍コンビを解消し、龍原砲を結成する前の過渡期に組まれた話題性の薄い6人タッグマッチ。前年11月に故郷の石川・七尾でデビューし、12月に日本武道館で東都デビューまで追いかけた輪島の続報をと取材したものだろう。専門誌の追悼グラフでもお目にかかれないだろうマニアックな写真だった。

 そして反響と言えば、輪島さんとUWFを並べたことで、「少年時代の前田日明が横綱時代の輪島にケンカを売った」という伝説についての書き込みが複数あった。忘れていたが、これについて前田日明氏から聞いたことがあった。

 空手道場で腕を磨いていた前田日明少年は、大阪のミナミでチンピラ相手に腕試しをしていたという。春場所で大阪に来ていた力士を見ては「序二段ぐらいだったら勝てるだろう」と息巻いていた。ある日、ちゃんこ店の入口で見つけた力士に、ケンカを売ろうとしたら、何か後ろに気配がする。振り向くと、そこに横綱・輪島が立っていた。その存在感に圧倒された前田少年は「お疲れ様です」と言って退散したというネタだった。

 その2人が十数年後の1987年にプロレス界で対極のヒーロー同士になろうとは。輪島は土曜夜7時の「全日本プロレス中継」、前田は金曜夜8時の「ワールドプロレスリング」の看板選手だった。ゴールデンタイムの最後の起爆剤でもあった。(酒井 隆之)

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