•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

7度目復帰の大仁田厚より目立とうとするターザン山本…金曜8時のプロレスコラム

2018年11月2日8時0分  スポーツ報知
  • 大仁田厚(左から2人目)の会見に乱入したターザン山本(右端)

 ついに、というか当然のように、元参院議員の大仁田厚(61)が1年ぶり7度目のプロレス復帰を果たした。昨年10月31日に後楽園ホールで7年ぶり7度目の引退試合を行ってから、ちょうど1年もたっていない10月28日に、神奈川・鶴見青果市場でプロレスリングA―TEAM主催の興行に史上初の“ボランティアレスラー”として復帰した。

 何度も引退、復帰を書かされてきた記者としては、今さら問い詰めるつもりもない。「復帰じゃなくて、ボランティアレスラーだから。“ボラレス”。ちまたでは“ぼったくりレスラー”と呼ばれてますが」と自虐的に言い訳したが、もはや言い訳など誰も求めていない。「復帰しましたが、何か?」でいいじゃないか。

 需要があるから供給がある。復帰戦には、超満員札止めとなる450人の観衆が集まった。大仁田はメインイベントのストリートファイト・エニウェアフォール電流爆破バット&有刺鉄線地雷ボードデスマッチ時間無制限1本勝負で、ケンドー・カシン(50)、HASEGAWA(41)とトリオを結成し、キム・ドク(70)、橋本友彦(41)、雷電(35)組と対戦した。大仁田は赤い毒霧、机上パイルドライバーと引退試合と変わらぬ大暴れで、13分9秒、電流爆破バットからの体固めで雷電を仕留めた。地雷爆破の爆音と噴煙は、初期のFMWでのミスター・ポーゴ戦(1991年5月6日・大阪万博お祭り広場)級の強烈なものだった。

 大仁田とキム・ドク。昭和のプロレスファンにとっては夢のカードじゃないか。ともに“全日本プロレス第3の男”という地位にいた両雄。その後、波瀾万丈の人生を送った末に61歳と70歳で遭遇するなんて、来年1月31日に没後20年を迎えるジャイアント馬場さんがどう見ているのだろうか。

 時代はさらに進み、大仁田の次の試合として、その馬場さんが仰天するようなカードが組まれた。元週刊プロレス編集長のターザン山本氏(72)とデスマッチで対戦することが決定したのだ。大仁田は「プロレス界に嫌いな人が2人いる。1人は電流爆破に当たらなかった長州力。もう1人はターザン山本。こいつは言いたいこと言って、電流爆破を体験してみろって。デスマッチを体験して、プロレスの底辺の凄さを感じて頂きたい」と話した。

 山本氏は、昨年10月に71歳でプロレスデビューし、雑誌「Number」の「プロレス総選挙2018」で14位に選ばれるという珍現象が起きている。文化人として「山本氏」と呼んできたが、大仁田が現役復帰したことで氏が外れたことに合わせて、ターザン山本と呼ばせてもらおう。そもそも編集者がリングネームのような名前を名乗っていたこと自体がおかしい。

 復帰戦から一夜明けた29日、大仁田は東京・巣鴨のプロレスショップ闘道館で開かれた「スターダム★アイドルズ旗揚げ戦」(12月2日・新木場1stRING)の記者会見にプロデューサーとして出席した。会見では、大仁田の妹分でアイドルレスラーの中野たむGM(年齢非公表)オーディションに合格したスターダム★アイドルズの新メンバー15人のお披露目が行われた。そこへターザン山本が乱入した。

 何度も引退を書かされてきたターザンは「お前を引退させないと気がすまないんだよ」と言い放つと「俺はもう引退してるって。机の上にパイルドライバーしてやる」と大仁田は言い返し、デスマッチ勝負を要求。それでもターザンは、やりたい放題で新人アイドルレスラーたちを物色し、大仁田が会見している前でスマホでアイドルと2ショット撮影。乱入劇にもカメラを意識して前に出て対応しようとする大仁田に、かぶり放題のターザン。大仁田がコメントしている時も、上からかぶせていき、アピールが止まらないターザン。大仁田が苦笑するくらい、糖尿病を抱える72歳に怖いものはない。

 ターザンは編集長時代に、大仁田のFMWなど、白眼視されてきたインディペンデント団体に光を当てた。「いやー、ハレンチだね。面白いねー」と何でも面白がったことで、読者からの支持を得た。大仁田を超える破廉恥なレスラーが出てこなかったから、大仁田が引退できずにいる中、レスラー・ターザンが現れた。「スターダム★アイドルズ旗揚げ戦」でオッサン同士が戦うなんてハレンチすぎる。

 大仁田の復帰戦前日の27日には闘道館で2人によるトークショーを行い、完売の大盛況だった。乱入劇の後、決戦前日の12月1日にまたも2人によるトークライブ「デスマッチとは何か」を行うことが決まった。ターザン山本は、大仁田の毒に対抗できる希有なレスラーかもしれない。いや、そんなことは決して認めたくはない。この対決をプロレスマスコミがどう報じるかが楽しみだ。(酒井 隆之)

 ◆大仁田厚、7度目の復帰声明

 「本当にマスコミの方々にはご迷惑をかけています。毎回毎回、引退と名乗ってパネルを頂いて…。ボランティアレスラーには引退もないし、好きな時に出て好きな時に去ると。一切、パネルとかトロフィーだとか要求しませんし、まったくもらいたいとも思いませんので。ありがたいことにイギリスから1月にお呼びがかかりまして行ってきます。4月5、6、7日、ニューヨークの方で試合をしてきます。なんかこう自分の中で本当に純粋に熱いモノを感じましたね。やっぱり純粋であるべきですよ、人間は。大人になるとだんだんだんだんくすんだりしてくるじゃないですか。もう1回、61歳という還暦を過ぎた区切りの中で、純粋になってみたいなっていう自分がいましたので。ボランティアでも試合に呼んでもらえるというのは、ありがたいことです」

コラム
注目トピック