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柔道選手と仰天ダイエット 吐くことに慣れすぎて人間ポンプになった男の話

2018年11月2日11時39分  スポーツ報知
  • 2000年シドニー五輪は選手村の外に食堂を設けて食事していました! 左は野村忠宏選手ですよ! いやぁ〜若かったなぁ(篠原氏提供)
  • 2000年シドニー五輪は選手村の外に食堂を設けて食事していました! 左は井上康生選手ですよ!(篠原氏提供)

 食欲の秋! ということで~、食べてばかり! あっ、ズボンのウエストが…汗。ヨシっ! ちょっと減量をしようかと、この時期に多くの方が一度は思ったことがあるかと! 減量か…。そういえば現役の時は100キロ超級だったので、減量をしたことがないボク。ただ、今思うと、ひどい減量をしていた選手は多かったなぁ(大汗)

【篠原が知る仰天減量】

 ▼Aくんの場合

 徹底的に食べて飲み、最後はすべて吐いてからの~体重を落とす! という方法。最初は指を突っ込んでいましたが、慣れてくると自由自在に吐ける人間ポンプ芸。腹を動かすだけで吐くことができたそうです。

 ▼Bくんの場合

 なんと、当時はドーピングで禁止されていなかった利尿剤を使っていました! 試合前日でリミットまであと400グラムだったのに「水を好きなだけ飲んでも体重が落ちるよ」(仲間の悪魔のささやき)を聞いて、就寝前に利尿剤をゴックン。結局、30分おきにトイレに行くはめになり、試合当日には1・5キロも余計に落ちました。当然、体の筋肉がつって、試合になりませんでした。

 ▼Cくんの場合

 1週間で14キロの減量を敢行しましたが、前日で700グラムもオーバーしてあたふた。全然、落ちなくなって結局、献血に行って採血してもらったそうです。ところが、計量が終わった後に、あの有名な乳酸菌飲料を2本もらって思わず飲んでしまい、元のもくあみに。結局、体重は全然減らなかったそうです(涙)

 ▼Dくんの場合

 2週間で18キロの減量に挑みました。しかしあと200グラムがどうしても落ちない。で、後輩に浣腸(かんちょう)を買ってきてもらって、ズブリとやったわけですが、ここまで約1週間、飲まず食わずだったこともあり、お通じがさっぱり。結局、浣腸液分だけ体重が増えたそうです。骨折り損のくたびれもうけ、いや、尻入れ損という悲しいケツ末を迎えました(涙)

 とまぁ、こんな減量していては、試合に勝てるはずもなく…。

 篠原の心の声「よかった。100キロ超級で」

 実は篠原、大学1年の時は体重が98キロぐらいだったので、先生から95キロ級(当時の階級)に出たらどうだと言われたのですが、無理ですと断ったんです。何で減量してまで試合に出ないとあかんねん、と。

 篠原の今の弱気な心「仮に95キロ級で試合に出ていたら…。後に階級変更で100キロ級になったら、間違いなく井上康生に負けてたやろな(汗)。良かった、減量しなくて…」

 吉田秀彦先輩は、いつも非科学的な根性主義的減量をしていましたが、それでも強かったんですよねぇ。まぁ、他の選手は不摂生だったんですが(笑)。吐いたり、浣腸したり、血を抜いたりとパフォーマンスの著しい低下を招いていたことを反省し、全日本柔道連盟では、1992年バルセロナ五輪の前から管理栄養士のサポートを導入しました。柔道は古臭いスポーツのように思われていますが、常に世界との戦いを考えているので、科学的サポートの導入がいち早く行われたんです(ドヤ顔)

 2000年シドニー五輪の時は、管理栄養士が選手の為にカロリーを考えた食事を作ってくれてました。選手が自分の体重と相談しながら栄養士にお願いをするんですが、私以外の代表6人は減量があったので大変だったと思いますね。

 おかゆに梅干し、うどん、鶏肉を使った料理、パスタ、フルーツなど、リクエストすると、ちゃんとカロリーを考えて、その選手用に作ってくれるんです(感謝感謝)。試合当日も朝食から昼食まで、と。私は減量がなかったので、計量後にすぐに食べられるように、おにぎりの中にオカカと梅干し、玉子焼きにウインナー。「ウインナーは、ちゃんとタコの形にして下さいね!」と、お願いするとタコの形になっているんですよ(笑)

 男子の代表監督時代は合宿や遠征に管理栄養士が帯同してくれていました。減量も長期、中期、短期において実施方法が異なるため運動量、食事(栄養)のバランスが重要となってくるのだそうです。なので合宿時は通常時の体重を管理し、選手にあったアドバイスが行われていました。

 合宿時は練習前後の体重と体脂肪を測定し、自己管理も合わせて指導してくれてます。食事面では合宿以外でも随時、相談してもらっていました。NTCでの合宿時はレストランの食事には全てカロリーが表示してあり、パソコンで自分の摂取したカロリーや栄養バランスがチェックできるようにもなっていた。また「勝ち飯」というメニューがありました。

 現在もそうですが、減量以外にも選手はウェートトレーニングで筋力アップも重要課題になるのでトレーニング期、減量期の栄養についても常時アドバイスが行われているそうです。

 私が代表監督だった当時は当日計量でしたが、現在は前日計量になり、さらに試合当日に不作為に体重チェックが実施されるので、前日にクリアしても気を抜けないそうです。ゆえにリカバリーとしての食事も重要になってきます。

 食欲の秋、実りの秋で食べ物も美味しいんですけど、選手はしっかりと自己管理をしないといけない。やはり体を動かして、食べた分のカロリーは消費しないといけないってことですね。分かっておりますよ。篠原、ダイエットは明日からやるんだろと言いたいんでしょ? はい。今日はサウナで汗を流して、か~えろっと!

 ◆篠原信一(しのはら・しんいち)1973年1月23日、神戸市出身。45歳。中学1年で柔道を始め、育英高、天理大を経て旭化成に入社。98~00年まで全日本選手権3連覇。99年世界選手権で2階級(100キロ超級、無差別級)制覇。2000年シドニー五輪100キロ超級銀メダル。03年に引退。08年に男子日本代表監督に就任し、12年ロンドン五輪で金メダル0の責任を取る形で辞任。

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