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レスリング金の渡辺長武氏 ギネスに載った186連勝…64年東京五輪

2019年1月19日12時0分  スポーツ報知
  • 64年東京五輪レスリング・フェザー級で金メダルを獲得し肩車された渡辺

 64年10月11日からの4日間で6選手と対戦した渡辺長武(おさむ、78)は、1ポイントも失わない圧倒的な強さで金メダルを獲得した。1回戦から3回戦までフォール勝ち。4回戦から優勝が決まった決勝リーグのホハシビリ(ソ連)戦まではフォールこそならなかったが、相手が逃げまくって判定勝ち。現在ならテクニカルフォール勝ちになる大差がついた。

 「全試合フォール勝ちを狙ったのに。ちきしょう」渡辺は金メダルを手にしても、喜びより悔しさを口にした。実況アナウンサーが「アニマル渡辺」と放送するほどの強さを世界中に見せつけた。62、63年の世界選手権でも優勝しており、3年連続の世界一。連勝記録を186に伸ばし、ギネスブックにも掲載された。

 前回のローマ大会で銀メダル1個の惨敗に終わった日本は同日、フライ級の吉田義勝(77)、バンタム級の上武洋次郎(76)も金メダルを獲得。日本レスリング界にとって最良の日となり「開会式は身長の高い順に並んで行進するけど、私と親友の(重量挙げの)三宅(義信)さんは一番後ろだった。その2人が金を取って本当にうれしかった」。

 一度は現役を退いたが、70年の全日本社会人選手権に出場し1勝。ソウル五輪予選を兼ねた87年の同選手権では2連勝したが、準々決勝で敗れ連勝記録は189でストップした。「一生懸命やれば、できるということを見せたかったんですよ」

 昨年7月、母校・中大の五輪選手輩出を側面的に支援する組織「白門オリンピアンズ・クラブ」の初代会長に就任した。「合宿所に気合を入れに行きたい。今の選手は練習が足りない。人間は死ぬ気になれば何でもできる」。自らの経験を伝え、生かしていくことが使命だと感じている。(編集委員・久浦 真一)=敬称略=

 ◆渡辺 長武(わたなべ・おさむ)1940年10月21日、北海道・和寒(わっさむ)町生まれ。78歳。士別高からレスリングを始め、中大に進学。全日本選手権は5度優勝。160センチ。

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