出口クリスタ、東京五輪では日本倒して金狙う

スポーツ報知
カナダ代表で東京五輪での金メダルを目指す出口

 柔道女子57キロ級の出口クリスタ(山梨学院大4年)が先月に行われた国際大会、グランドスラム(GS)パリで初優勝した。カナダ人の父と日本人の母を持つ出口は昨年1月、カナダ国籍を選択。カナダ代表で2020年東京五輪の表彰台を目指す。日本人のうまさと、カナダ人の強さを兼ね備える美人柔道家は「五輪決勝で日本代表と戦い、金メダルを取りたい」と宣言した。

(取材・構成、大津 紀子)

 夢の頂へ、出口が歩みを進めた。カナダ代表として3度目のGS挑戦となったパリで、決勝を含む5試合でオール一本勝ちした。

 「(一度廃止された)合わせ技一本が復活したことが自分にとってはプラスになった。どんどん攻めてポイントを取ることができた」

 パワーと瞬発力を武器に組んで投げ、一本を取りに行くのが出口の持ち味だ。ルール改正で、積極性がより勝利につながるようになった。GSパリの前週に行われた欧州オープン・オディベーラス(ポルトガル)で優勝したことも追い風になった。

 「(欧州オープンは)カナダ代表として初の優勝だった。(審判の)ポイントの取り方なども分かったので、自信を持ってパリに挑めた」

 日本とカナダの二重国籍から、昨年1月、カナダ国籍を選択した。カナダ代表として東京五輪を目指す姿勢を表明した。

 「決めるまではそれなりに時間がかかった。いろいろな人に相談したけど、最後に決めたのは自分。オリンピックでメダルを取りたいという夢を一番に考えた時、カナダから(東京五輪に)出ようと決めた」

 昨年夏、カナダのケベック州モントリオールにあるナショナルトレーニングセンター(NTC)で行われたカナダ代表の練習に約2週間、参加した。日本生まれ、日本育ちの出口にとって、多くの刺激を受けたという。

 「まずスタイルが自由。みんな髪の色や形も様々で、ピアスをつけたまま畳に上がる。日本じゃ考えられない(笑い)。彼らはNTCに集められ、強化されますが、負け続けば外されます。結果を出し続けなければならないという日本人以上の強い気持ちがあった。日本とカナダ、それぞれのいいところを身につけて自分の柔道をやればいいと思えた」

 卒業後も拠点は山梨学院大とし、日本生命に籍を置いて甲府支社で勤務しながら練習を続ける。

 「山部(伸敏)監督は技術だけでなく、気持ちの面でも支えていただいた存在だし、この仲間と一緒にもっと強くなりたい」

 柔道部では副主将を務めた。同じ57キロ級には妹・ケリー(1年)もいる。

 「妹を含め全員が仲間で家族のような感じ。今は全員妹みたいなもんです」

 4月にはコスタリカで行われる大会に参加する予定。東京五輪に向けた戦いは続く。

 「しっかりと勝ちきる柔道に磨きをかけ、全ての試合に勝ち続けたい。日本には強い選手がたくさんいます。(東京五輪の柔道会場の)日本武道館の決勝で、日本代表と決勝を戦うのが夢。もちろん、私が勝ちたいです」

 ◆出口 クリスタ(でぐち・くりすた)1995年10月29日、長野・塩尻市生まれ。22歳。3歳から柔道を始める。松商学園高1年時に高校総体優勝、3年時に全日本ジュニア優勝、世界ジュニア3位。山梨学院大1年時には世界ジュニア2位。団体戦では全日本学生優勝大会4連覇に貢献。2月の欧州オープン・オディベーラス、グランドスラムパリと続けて優勝。段位は三段。組手は右組み、世界ランキングは32位。身長160センチ。家族は両親と妹。

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