箱根予選会が20キロからハーフマラソンに 延長の約1・1キロでドラマ生まれるか

スポーツ報知
2017年10月の箱根駅伝予選会でスタートを切り駆け出す選手たち

 箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟は28日、第95回記念大会から予選会(10月13日)の競技距離を20キロからハーフマラソン(21・0975キロ)に延長することを発表した。会場は東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地スタート、国営昭和記念公園ゴールで昨年までと同じ。駐屯地の滑走路を2周から3周とするなどして距離を調整する。各校、登録された14人の中から12人が一斉スタートし、上位10人の合計タイムで本戦出場権を争う競技方式に変更はない。95回記念の今回は例年より1増の上位11校が本戦出場権を獲得する。

 前回、優勝の青学大をはじめ上位10校はシード校としてすでに本戦出場権を獲得。また、関東学生陸上競技連盟は2014年4月に関東学生対校選手権男子1部の14~18年の5大会の総合得点が最も多い大学に「関東インカレ成績枠」として出場権を与えることを決定しており、当該校の日大は予選会免除で本戦に出場する。

 箱根駅伝予選会は新たな時代を迎えようとしている。20キロからハーフマラソンに延長されることをほとんどの監督が歓迎する。多くのエリートマラソン大会において、初マラソン選手の参加標準記録はハーフマラソンで設定されている。「20キロの好記録を持っていても参加資格を得られないことが多い。例年、予選会で自己ベストを出す選手が多いので、20キロから国際基準のハーフマラソンに変更することは大きなメリットがある。また、箱根駅伝本戦も10区間中7区間が21キロ以上。本番につながると思います」と神奈川大の大後栄治監督(53)は説明する。

 では、実際に予選会はどのように変わるか。1・0975キロの延長は決して軽視できない。チーム10人では10・975キロ、時間にして約33分の延長となる。

 今年の箱根駅伝でぎりぎりの10位でシード権を獲得した中央学院大と14秒差の11位で予選会に回ることになった順大の長門俊介監督(34)は「20キロでも残り5キロ、3キロ、1キロでめまぐるしく順位が変わった。延長された1・1キロで順位が大きく変わることは十分にあり得るでしょう。力の差が出ると思います」と慎重に話した。

 今年の箱根駅伝でまさかの12位に終わり、9年ぶりにシード権を逃して予選会に回る駒大の大八木弘明監督(59)は「予選会では多くの選手に自己ベストを出してもらいたい。逆に言えば、自己ベストを連発しなければ上位で通過できない」と表情を引き締めて話した。前回の予選会で12位敗退の創価大・瀬上雄然監督(56)は「序盤の滑走路は走りやすいので例年、ハイペースになる。今回から滑走路を走る距離が長くなるので、その分、ペースがさらに速くなることが予想される。そうすると、終盤の落ち込みをいかに押さえるかが重要。延長される1・1キロはただの1・1キロではありません。重みのある1・1キロです」と話す。予選会の終盤、新たなドラマが生まれる可能性がありそうだ。

 また、予選会の出場資格が一部変更される。有効期間内(予選会開催前年の1月1日~申し込み期日前日)の公認記録が、前回まで5000メートル16分30秒以内、もしくは1万メートル34分以内だったが、1万メートル34分以内だけとなる。本戦出場を狙うチームには影響はないが、予選会出場を目指すチームにはハードルが高くなる。

 20キロで行われた昨年大会は1位通過の帝京大が10時間4分58秒(平均1時間29秒8)。ぎりぎりの10位で通過した東京国際大は10時間10分34秒(平均1時間1分3秒4)だった。気象条件が昨年とほぼ同じという前提で主な大学の監督に予選会に向けての展望を聞いた。

 順大(前回本戦11位)長門俊介監督「エースの塩尻和也(4年)は1時間2分前半、できれば1時間1分台を期待したい。チーム10番手は1時間5分切りが目安になるでしょう」

 駒大(同12位)大八木弘明監督「主力は1時間2分台、10番目の選手でも1時間3分台にまとめたい。夏にそういうチームをつくります」

 神奈川大(同13位)大後栄治監督「1・1キロの延長分は3分20秒と計算すると、突破するためには最低限、平均64分前半が必要でしょう」

 国学院大(同14位)前田康弘監督「外国人留学生が増えているのでハイペースのレースになるのでは。主力の浦野雄平、土方英和、青木祐人(いずれも3年)には果敢にチャレンジして1時間2分台を期待している。中間層は1時間3分台、10番手は1時間4分台が目標になります」

 中大(同15位)藤原正和監督「主力の中山顕、堀尾謙介(いずれも4年)、舟津彰馬(3年)らは1時間2分台で走ってもらいたい。10番手は1時間4分台。シードの上位校には1時間2分台が6~7人いますので、少なくとも、3~4人は1時間2分台で走らなければ本戦で勝負はできません」

 大東大(同16位)奈良修監督「主力の3人は1時間2分台、あるいは1分台を目指します。10番手ではなく12番手が1時間3分台。それくらいのチーム力でなければ本戦では上位で戦えません」

 創価大(前回予選会12位敗退)瀬上雄然監督「ムソニ・ムイル(3年)は1時間2分前半を期待したい。1時間3分30秒以内で何人が戻って来られるかが鍵になります。10番手は1時間4分台でまとめてもらいたい」

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