【箱根への道】日大“インカレ成績枠だから”とは言わせない

2018年7月6日12時0分  スポーツ報知
  • 全日本大学駅伝関東選考会第4組を制したワンブィ。練習もレースも背中でチームを引っ張る
  • 自身初の箱根シード権獲得に燃える就任3年目の武者監督

 11校目の出場校として5月に早々と来年の箱根切符を手にしたのが日大だ。第95回記念大会の「関東インカレ成績枠」で出場権をゲットして、10月の予選会を経ずに2年ぶりの復帰が決定。6月30日の全日本大学駅伝関東選考会では8位に滑り込み、実力で出場権を勝ち取った。

 通算12回(歴代3位)の箱根優勝を誇るが、昨季は学生3大駅伝不出場。苦しい中でチャンスをつかんだ名門の全日本、箱根へ向けた戦略に迫った。(太田 涼)

 「どうしても通過したかった」。伊勢路への切符を手にした2日後、武者由幸監督(34)は笑顔で思いのたけを語った。「箱根は関東インカレ成績枠で出ますが、今回は実力で勝ち上がれた。途中、危ないかもと思いましたが…」。全日本大学駅伝関東選考会は、7年連続出場を目指した山梨学院大のケニア人留学生・ドミニク・ニャイロ(4年)がエントリーから外れ、1組目では中大の関口康平主将(4年)が途中棄権するなど波乱もあったが、日大は4組中3組のレース終了時で次点の9位。最終組でエースのケニア人留学生パトリック・ワンブィ(4年)がトップでタイムを稼ぎ、ギリギリ8位に滑り込んだ。「昨季は3大駅伝にひとつとして出場できなかったので、1、2年生は学生駅伝未経験。ぶっつけでの箱根は避けたかった」(武者監督)。これで、何とか想定通りに進めることができる。

 入学時から活躍するワンブィがチームを変えた。「『駅伝をやりたい。みんなを強くしたい』と自分で発信するようになりましたね。主将をやってもいいくらいの意識の高さ」と武者監督も絶賛。1万メートル3連覇を果たした5月の関東学生対校選手権(関東インカレ)後には何人かの選手と朝練を一緒に走りたいと申し出があった。けがのリスクもあるので選手は日替わりになったが、ワンブィがよく走るという多摩川25キロコースを7~8人で走り込んだ。「通常の朝練習は15キロ程度ですから、プラス10キロ。選手にとっては力がつくし、ワンブィも熱心にコミュニケーションをとって一体感を大事にしていました」。エースとして練習もレースもチームを背中で引っ張り、伊勢路切符へとつなげた。

 「関東インカレ成績枠」によって箱根予選会を免除され「デメリットは一つもない。良いことだらけ」と武者監督は歓迎する。「10月の予選会があると夏合宿では『けがさせないように』『違和感があったら無理させない』など加減してしまう部分があった。もちろん、けがには注意しないといけませんが、今年の夏は9月までしっかり走り込んで体を作れる」。8月上旬に長野・菅平高原、9月下旬までは北海道と涼しい中での夏合宿で鍛え抜く。特に学生駅伝未経験の下級生への期待は大きく、「1、2年生は駅伝を走りたくて必死になる。潜在能力の高い選手も多いですから、メンバーに絡んでくるかもしれません」。激しいメンバー争いがチームの底上げにつながると話した。

 さらに、夏合宿を終えても10月でコンディションを整え、11月の全日本大学駅伝に臨めることも大きい。「区間距離が大きく変わったので戦略も変わる。夏合宿で走り込める分、化ける選手も出てくるので前半から前でレースを進めたい」とプランを明かす。加藤拓海主将(4年)も「シード権(8位以内)獲得です」と意気込む。

 箱根本戦まで半年。今年は関東学生連合チームとして監督車に乗った武者監督は、補助役員を務める教え子たちを眺めた。「悔しかったですよ。ユニホームを着て、タスキをかけて僕の前を走ってるのがあの子たちじゃないというのは。でも今回はその心配はない。ベストメンバーを組んで、全員が力を出し切れればシード権(10位以内)もついてくる」。加藤主将も「もし、20位とかに終わってしまうと『関東インカレ成績枠で出場したから』と言われてしまう。そんなことを言われないような結果を出したい」と意地を見せるつもりだ。総合優勝から遠ざかること44年。日大陸上競技部の総力をかけてつかんだ切符で、古豪復活の道を走る。

 ◆関東インカレ成績枠 2014年に決定した箱根駅伝第95回記念大会の特別出場枠。14~18年の関東学生対校選手権(関東インカレ)男子1部の短距離、フィールドなど全種目の総合得点(1位8点、2位7点…8位1点)が最も多い大学に出場権が与えられる。日大が5大会累計701・5点で2位の順大に185・5点の大差をつけてトップ。今年の予選会を免除され、本戦に出場する。

 ◆昨季の日大 全日本大学駅伝関東選考会は16位で落選。88回目の箱根出場を目指して臨んだ予選会では次点の11位に終わった。主力となる上級生の欠場やワンブィのレース中の腹痛による失速などで苦戦し、10位の東京国際大とは1分31秒差。個人92位の阿部涼(3年)が関東学生連合チームに選出され、本戦10区を走って1時間12分3秒で区間6位相当だった。

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