五輪2大会連続「金」の内柴正人、5年5か月ぶり柔道界復帰 キルギス柔道連盟の総監督に就任

スポーツ報知
キルギスの選手らと写真に納まる内柴

 2004年アテネ、08年北京の五輪2大会連続で柔道男子66キロ級の金メダルを獲得し現在、柔術家として活動している内柴正人(40)が中央アジアのキルギス共和国の柔道連盟の総監督に就任したことが29日、分かった。

 今回の総監督就任は、内柴が現在、所属している神奈川県座間市内の柔術道場「ALAVANCA」の山田重孝代表を通じてキルギスの柔道連盟から今年1月にオファーを受け、2月に同国を訪問するなど交渉を重ね今月に入り正式に契約を結んだ。今後は、連盟の道場がある首都ビシュケクに居住し、キルギス柔道の強化と発展に手腕を発揮することになる。

 この日朝、成田空港発の航空機でキルギスへ出発した内柴は「ボク自身は、もっと柔術を極めていきたい気持ちもあったんですが、今回のお話を頂いた時に自分を応援してくださっている周りの方々が柔道界に戻ることをすごく喜んでくれてボクが柔道に帰ることで、そういった支えてくれた方々の気持ちに応えることができると思って決断しました」と話した。

 内柴は、13年2月に東京地裁に準強姦(ごうかん)罪で懲役5年の実刑判決を言い渡され全日本柔道連盟から永久追放処分を受けた。昨年11月の仮出所後は、柔術家として活動し国内、さらには今年5月には海外の大会でも優勝するなど実績を残していた。今回のキルギス総監督就任で5年5か月ぶりの柔道界復帰となった。

 キルギス柔道連盟からは五輪に出場する選手の育成を希望されたという。ただ、同国のレベルは世界的には発展途上の段階で世界を極めた内柴は「正直、今の段階で五輪を目指す厳しい練習をやるのは難しいです。まずは、大きな目標から小さな目標を選手から聞き出して、リアルにかなえられる所から目指していきたいと思っています。基本から教えて下地を作っていきたいと考えています」と明かした。2020年東京五輪ではなく次の24年パリ五輪を目指し、選手と対話しながら金メダルを獲得した自身の経験を徐々に伝えながら着実に実力を伸ばしていきたいという。

 一方で今後、内柴自身が柔道家として現役復帰も視野に入れていることも明かした。「五輪は一人一人に出る権利があるとボクは思っています。なので、キルギスへ行って向こうの国籍が取れるならやってみたい思いはあります」と打ち明け、キルギス代表として五輪出場を目指す考えも披露した。また、仮出所後の昨年11月から取り組んできた柔術の練習は続ける意向で「柔道の練習が柔術に生かせるし、柔術が柔道にも生かせると思うので、もっともっとキレのある体を作って柔術も追求していきたい」と明かした。

 さらに、柔術を指導する山田氏は、今後、国内外を問わず総合格闘技大会に参戦する可能性を言及し「私のALAVANCA柔術所属としての内柴正人は何かを証明するため、または出場する意味があれば出る準備があります」と明言。山田氏は総合格闘技大会「REAL FIGHT CHAMPIONSHIP」を主宰しているが「出場するのはREALのみではなく条件が合えば他団体に出場する可能性もあります」と断言した。

 様々な可能性を秘めた新天地でのスタート。内柴は「まずはキルギスの選手とコーチがしっかり練習に打ち込めるようお手伝いをしたい。その結果、いつかボクがキルギスを離れた後も柔道が好きで柔道を続けたいと思ってくれる選手がたくさん残るような基盤を作りたいと思っています」と目標を掲げ、キルギスへ向かった。

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