五十嵐カノア、完璧な空中技で全米OP連覇

スポーツ報知
五十嵐カノア

 2020年東京五輪の新種目サーフィンで日本代表を目指す五十嵐カノア(20)=木下グループ=が5日、米カリフォルニア州ハンティントンビーチで行われた全米オープンで2連覇を達成した。プロ最高峰チャンピオンシップツアー(CT)の予選シリーズ(QS)で最高ランクの大会(QS10000)。決勝は残り約2分から完璧な技を見せ、8.17点をマーク。合計15.77点でギリフィン・コラピント(20)=米国=に0.77差で競り勝った。

 生まれ育った海が味方になる瞬間をじっと待った。逆転には7.41点以上が求められる状況。「ハンティントンは僕に必要な波をくれると信じていた」。残り2分6秒、相手の前に入り込んでテイクオフ。波の崩れ際からターンする技を連発した後、S字を描くように勢いを引き出す「カットバック」でスピードを上げ、完璧な空中技を決めた。

 崩れた白い波から仁王立ちで姿を現し、両手を何度も振り下ろした。「どうやってガッツポーズをしたのかも覚えてない」ほど、声がかれるまで歓喜の雄たけびを上げ続けた。9日間で約50万人が見込まれる大会最終日で砂浜と桟橋を埋め尽くした人々に祝福され「一生忘れない日」と爽やかな笑顔がはじけた。

 東京五輪を見据え、今季から日本国籍表記でCTを回っている。五輪出場権獲得が絡むワールドゲームズ(9月16日開幕=愛知・田原市)では日の丸を背負って戦う。「金メダルを取って、五輪につなげられるように頑張る」。今度は日本で最高のサーフィンを見せる。

 ◆チャンピオンシップツアー(CT) 世界プロサーフィン連盟(WSL)が主催する最高峰ツアー。18年の男子は11大会で、前年のCTランク上位22人、予選シリーズ(QS)上位10人、ワイルドカード(WC)2人の計34人が通年参戦できる。日本からは五十嵐が唯一の参戦で現在17位。翌年のCT入りを争うQSは優勝獲得ポイント別に10000、6000、3000、1500、1000に分かれる。10000は年6大会。今年5月に6000の大会が東京五輪の開催地、千葉・一宮で行われた。

 ◆五十嵐 カノア(いがらし・かのあ)1997年10月1日、米カリフォルニア州ハンティントンビーチ生まれ。20歳。両親の影響で3歳からサーフィンを始め、6歳で地元サーフショップがスポンサーにつく。10年全米アマ王者に輝き、16年からCT参戦。180センチ、75キロ。カノアはハワイの言葉で「自由」。日、英、ポルトガル、スペイン、フランスの5か国語を話せる。弟キアヌもサーファー。

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