【日本に立ちはだかる世界の強敵】柔道 テディ・リネール

スポーツ報知
柔道男子100kg超級(決勝)テディ・リネール

 アスリートの力を引き上げていくのは、何よりライバルの存在だろう。敵が強大であればあるほどモチベーションも高まり、創意工夫も生まれるというものだ。東京五輪のメダルへの道に容赦なく立ちはだかる絶対王者がいれば、猛スピードで成長して背中を脅かしてくる若手もいる。

 テディ・リネール(フランス)は柔道界の絶対王者だ。史上最年少の18歳で制した2007年から男子100キロ超級で、世界選手権8連覇と比類なき実績を誇り、五輪も2連覇中。日本勢も10年世界選手権無差別級の上川大樹を最後に敗戦続きで、最重量級の復活を悲願とする全日本男子の井上康生監督(40)も「偉大で尊敬できるからこそ、みんなで彼を倒しにいきたい」と最大級の賛辞を贈る存在だ。

 原沢久喜(26)、王子谷剛志(26)=旭化成=らのライバルは、204センチの長身とリーチを生かして相手の動きを制し、優れた組み手の技術で勝率の高い形を作り上げると、すかさず得意技の内股や大外刈り、隅返しで試合を決める必勝パターンを持つ。一方で慎重さも特徴で原沢と戦った16年リオ五輪決勝では指導1つ分リードした後半にほとんど組まず逃げ続け非難も浴びることになった。

 そうした経緯も踏まえ、国際連盟は昨年、技での決着を促すため、指導差だけで4分間が終了すれば時間無制限の延長に入るルール改正を行った。「ちょっとおかしい部分もある」と不満も漏らしながらも、その年の世界選手権も変わらぬ強さで優勝。今年と来年の世界選手権は欠場の意向だが、「柔道が生まれた国で金メダルを取りたい」。31歳で迎える東京五輪でも最強を証明するつもりだ。

 ◆テディ・リネール(Teddy Riner)1989年4月7日、フランスの海外県グアドループ出身。29歳。14歳でフランスの強化選手に選ばれ、世界選手権は男子100キロ超級で07年から8連覇。五輪は08年北京大会が銅、12年ロンドン、16年リオ五輪は金メダル。204センチ、141キロ。

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