レスリング藤波勇飛&高橋侑希“山梨学院大コンビ”が初出場V宣言

スポーツ報知
ともにアジア大会初出場Vを狙う藤波(左)と高橋

 18日に開幕したアジア大会(ジャカルタ)のレスリング競技が19日スタート。初日に登場する“山梨学院大コンビ”が、世界レベルの力を見せつける。男子フリー74キロ級に出場する藤波勇飛(4年、22)と、同57キロ級の同大OB・高橋侑希(24)=ALSOK=が2人そろっての初出場初優勝を宣言。今大会をステップに、世界選手権(10月20日開幕・ブダペスト)での表彰台、その先にある2020年東京五輪につなげる活躍を誓った。

 アジア大会を目前に控えても、藤波に緊張の色はない。つい最近まで2年に1度の開催と勘違いしていたという“大物”は、4年に1度であることを知り「本気で楽しみ」と血をたぎらせた。

 昨年の世界選手権男子フリー70キロ級で銅メダルを獲得したが、同階級が五輪から除外されたことで昨年末の全日本選手権(東京)から74キロ級に転向。優勝を飾るなど順風満帆な滑り出しだったが、今年に入りアクシデントに見舞われた。5月上旬、練習中に左頬骨を陥没骨折し、6月の全日本選抜選手権を欠場。けがの影響が残る中、7月、全日本選抜の覇者との世界選手権代表選考プレーオフに臨むも、14―2のテクニカルフォール勝ち。圧倒的な力で代表切符を得た。

 故郷の三重で活躍する妹に刺激を受けた。朱理(あかり、14)が7月の世界カデット(17歳以下)選手権・女子49キロ級で優勝した。藤波自身は年代別を含め世界一の経験はなく「妹だけど世界一というのは尊敬。既に結果では抜かれている」と脱帽した。一方、「妹に背中を追われるようにしないと。いろいろな面で尊敬される兄でいたい」とライバル心ものぞかせる。

 そのためにアジア大会Vで弾みをつけ、10月の世界選手権に向かいたいところ。ただこの階級は、世界ランキング上位10人のうち半数がアジア勢を占める激戦区。藤波も「(ライバルは)挙げたらきりがない」と警戒する。それでも「世界選手権は初出場初優勝が出来なかったので、アジア大会でやりたい。『藤波ハンパない』と言われるくらいになりたい」と闘志を燃やした。さらには「世界選手権やいろいろな海外の大会は五輪への前哨戦だと思っている」とキッパリ。アジアを制して世界一、そして東京五輪金メダルへの道筋に勢いをつける。(三須 慶太)

 ◆高橋は「練習感覚で」

 世界王者・高橋は挑戦者の気持ちと内容にこだわるレスリングでアジアNO1を狙う。「あまり『試合だ』となると、気負って空回りしてしまうので。練習感覚で臨みたい」と淡々とした口調で語った。

 昨年の世界選手権男子フリー57キロ級で初優勝。周囲からは、アジア大会初出場Vと世界選手権2連覇を期待されるが、高橋自身は「世界王者になった実感はない」と話す。「世界を2連覇してこそ本当の王者」と更なる高みを見据える。

 今大会には高橋が昨年の世界選手権で苦戦し、15年大会では敗れたエルデネバト・ベフバヤル(モンゴル)らがおり、レベルは高い。「勝って当然と思われるかもしれないが、アジア大会は初めてだし、挑戦者という気持ち」と高橋。ただプライドはある。目標を問われ「結果もそうだが内容にもこだわって優勝する」と言い切った。「東京五輪で金メダル」という最大の目標のためにも、アジアの舞台で真の実力を見せる。

 ◆高橋 侑希(たかはし・ゆうき)1993年11月29日、三重・桑名市生まれ。24歳。ALSOK所属。三重・いなべ総合学園高で全国高校総体3連覇。2012年、山梨学院大1年で全日本大学選手権男子フリー55キロ級優勝。初出場となった14年世界選手権同57キロ級5位、15年大会では9位に終わるも、17年大会では優勝し、日本の男子フリースタイルでは36年ぶりの世界王者に。身長159センチ。

 ◆藤波 勇飛(ふじなみ・ゆうひ) 1996年5月27日、三重・四日市市生まれ。22歳。8歳で競技を始める。西朝明中では全国中学V3。父・俊一さんが監督を務める、いなべ総合学園高に進み、14年に高校4冠(全国選抜、全国総体、全国グレコ選手権、国体)達成。山梨学院大では昨年の世界選手権フリー70キロ級で3位。74キロ級に転向後の昨年の全日本選手権で優勝。身長173センチ。

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