池江璃花子、最多タイ5冠 最終種目50メートル自由形で前人未到6冠挑む

スポーツ報知
女子400メートルメドレーリレーで金メダルを獲得し喜ぶ(左から)青木智美、池江、酒井夏海、鈴木聡美(カメラ・相川 和寛)

◆ジャカルタ・アジア大会第6日(23日)

 池江璃花子(18)=ルネサンス=が日本勢の1大会最多に並ぶ5個目の金メダルを獲得した。女子400メートルメドレーリレー決勝(酒井―鈴木―池江―青木智)でバタフライを担当し、3分54秒73の日本新&大会新記録で優勝した。5冠は1970年バンコク大会、74年テヘラン大会で競泳の西側(現姓・村山)よしみが連続で達成して以来、44年ぶり。驚異のJKスイマーがまた歴史に名を刻んだ。

 スリル満点の金メダルだ。公式記録を待つ間、池江は「早くしてぇ! もう!」とハラハラ、そしてソワソワを隠せない。韓国、中国が立て続けに失格となると口に手を当て「うそー!」と驚いた。直後に日本の金メダルが確定。メンバーと一緒に跳びはねた。

 第3泳者で任されたのはもちろん得意のバタフライ。平泳ぎの第2泳者・鈴木から1位で引き継ぐと100メートルを55秒80で泳ぎ、後続を大きく引き離した。「もう楽しくて仕方なかった。絶対に優勝したいって話していたので、1位をキープしたまま(青木)智美さんにつなげられて本当によかった」。3分54秒73。大会&日本新に頬を紅潮させた。

 44年ぶりにレジェンドに並んだ。1大会5冠は、競泳に限らず日本選手として最多タイ。競泳界の大先輩・西側よしみが席巻した74年大会は25の国・地域の参加だったが、今大会は45まで増加。相対的に大会レベルも上がっている中でのメダルラッシュだ。「これで満足しているわけではないけど、アジアチャンピオンになれて誇りが持てる」。狙っていたMVPは今大会、賞自体がなくなってしまい「残念だけど、力は出せた」と少し悔しそうに言った。

 これが今大会11レース目。大量の蚊や冷水シャワーという選手村の環境、連戦の疲労とも闘ってきた。体を冷やしては体調を崩しかねないため、日本チームは競技会場でシャワーを済ませてしまうなど現実的に対処してきた。「泳げればいい」と、不便な環境にも忍耐強く過ごしてきた。

 22日の混合400メートルメドレーリレーではアンカーを務めた5歳年上の青木智が逆転を許し、金に手が届かなかった。レース後、号泣する先輩を池江はそっと抱き締めた。「智美さんのせいじゃないよ、大丈夫だよ」とささやいた。「私よりずっと年下なのに頼もしいです。励まされて、まだまだ頑張ろうと思わせてくれた」と青木智は言う。一夜明け、同じ第3、4泳者の並びで、リベンジを果たした。

 強く優しい18歳。長丁場だったアジア大会最後のレースは、24日の50メートル自由形だ。「正直気持ちは折れそうだったし、体は気持ち以上にきつかった。でも金メダルの喜びが疲れを吹っ飛ばします」。レジェンド超えの6冠締めで、日本に凱旋する。(太田 倫)

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