池江璃花子6冠!44年ぶり日本最多更新…強敵・劉湘を“ガン見”「負けたら悔しい」

スポーツ報知
池江と五輪女王ショーストロム比較

◆ジャカルタ・アジア大会第7日 ▽競泳(24日)

 池江璃花子(18)=ルネサンス=が日本勢の1大会最多記録を塗り替える6個目の金メダルを獲得した。今大会最後の出場となった女子50メートル自由形で24秒53で優勝。6冠はアジア女子としても最多となった。競泳陣は全日程を終了し、金19、銀20、銅13の合計52個のメダルを獲得した。

 じんわりと涙がにじんできた。レース直後は笑顔、笑顔だった池江がスタンドに目をやった。母・美由紀さんら、日本からの応援団の姿が映った。「たくさんの人が見に来てくださって、そういう人たちの顔を見たら安心して…」。涙腺が思わず緩んだ。50メートル自由形を24秒53の大会新で制して有終の金メダル。6冠となり、競泳の西側よしみが70、74年大会でマークした日本勢の1大会最多記録5個を44年ぶりに塗り替え、アジア女子としても最多となった。

 最後に強敵が残っていた。中国の劉湘は、自由形が本職ながら今大会50メートル背泳ぎで世界新を出した。自己ベストも池江の24秒21に対して24秒04。「自由形で負けたら悔しい。意地でも勝てたらいい」と強烈に意識し「負けるか!」とガン見しながら泳ぎ切った。

 6日間で金6個、銀2個の合計8個のメダルを手に入れた。「6冠はできると思ってなかったので素直にすごくうれしい」。1大会メダル8個は全競技を通じての最多タイ記録。82年に金7、銀1個を獲得した射撃の北朝鮮選手に肩を並べ、女子では新記録となった。

 パンパシフィック選手権の4日間と合わせ、10日間で計25レースを泳ぎ切った。選手村では、慣れない周辺の生活音が耳に入ることもあって、レースの合間にとる昼寝がままならない。コンディション維持には苦労した。「2、3日前は体もきつくて、気持ちも折れそうになった。きょうのレースが一番疲れがなかった」と明かした。

 25日にはようやく凱旋。楽しみにしていることがある。7月4日の誕生日。美由紀さんから、以前から欲しがっていた電子ピアノを贈られた。まだほとんど練習はできていないが、帰れば少しは時間もできるだろう。「お姉ちゃんが弾いていたから、やりたいと思ったのかな? うまく弾けるようになったら、辰巳の競泳会場で流れる曲でも演奏してもらいたいですね」と母も娘の“コンサート”を心待ちにしている。

 若きアジアの女王。しかし満足はしていない。「まだアジアなので。これをどう来年の世界選手権、東京五輪につなげられるか」。メインの楽章は、これから奏でられる。(太田 倫)

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