松本薫“野獣”から“子連れ狼”へのモデルチェンジ…1歳長女見守る前で準優勝 

スポーツ報知
試合後に取材に応じる松本薫

◆柔道全日本実業個人選手権 第1日(25日、兵庫尼崎市ベイコム総合体育館)

 男女8階級が行われ、女子57キロ級で12年ロンドン五輪金メダルの松本薫(30)=ベネシード=は決勝で金子瑛美(27)=自衛隊体育学校=に優勢負けした。試合後、“野獣”から“子連れ狼(おおかみ)”へのモデルチェンジを宣言。1歳の長女のためにも、改めて20年東京五輪を目指す決意を示した。男子81キロ級で16年リオ五輪銅メダルの永瀬貴規(24)=旭化成=は準優勝。女子52キロ級で同銅メダルの中村美里(29)=三井住友海上=は2回戦で敗れた。

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 松本が約2年ぶりの個人戦で、進化と課題を実感した。銅メダルだったリオ五輪後、結婚や出産を経験。6月の全日本実業団体対抗大会で実戦に復帰したが、個人戦はリオ以来で「試合って本当に疲れるんだなって。やるべきことが明確になった」。決勝の敗戦を受け止めつつ、体の使い方を工夫し、求めてきた動きの速さには「反応、反射はどの試合を見ても私が一番速かった」と手応えも得た。

 観客席では、1歳の長女が初めて試合を見守っていた。「今の一番のモチベーションは娘」。毎試合、その姿を確認し「下手な試合は絶対見せたくない」と気持ちを奮い立たせた。子育てとの両立で十分な稽古量の確保は難しいが、夜に寝かしつけてから携帯電話に課題を記すなど「量や質より考えることを重点に」と時間の有効活用に努めている。

 闘志あふれる柔道スタイルで“野獣”の異名を取るが、まな娘という支えを得た今は「子連れ狼です」と笑う。次戦は11月の講道館杯に出場。3大会連続出場を目指す東京五輪の代表争いへ「(可能性は)まだ1%もない。簡単な道ではないけど、最後まで諦めない姿を娘に見てほしい」と不退転の決意を示した。(林 直史)

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