リレー侍、東京「金」へ個人とチーム両立できる体力を!…北京「銅」高平慎士氏インタビュー

スポーツ報知
「覚悟」とメッセージを送った北京五輪メダリストの高平慎士さん

 陸上の男子400メートルリレーは29日に予選が行われる。2008年北京五輪男子400メートルリレー銅メダリストで、昨季限りで現役を退いた高平慎士さん(34)がインタビューに応じた。前回の14年仁川大会も400メートルリレーで銀メダルに貢献。16年リオデジャネイロ五輪銀で強国に躍り出たリレー侍の魅力と、20年東京五輪金メダルへの課題に迫った。(取材・構成=細野 友司)

 世界大会で表彰台の常連となった日本。今大会は100メートルの前日本記録保持者・伊東浩司氏を擁した98年バンコク大会以来20年ぶりの頂点が目標だ。第1走者に26日の100メートル決勝で10秒00の銅メダルに輝いた山県、第3走者に日本記録9秒98を持つ桐生祥秀ら、万全の布陣で挑む。

 「国としてリレーの強さを示してほしい。中国はライバルには違いないけど、蘇炳添以外は手薄。やることをしっかりやれば、ナンバーワンが取れる」

 黄金期を迎えるリレー侍。08年に五輪初の表彰台に立った高平さんに、充実ぶりはどのように映るのか。

 「誰が出ても勝負できるメンバーがそろっている。ただ東京五輪の金メダルを狙うには、もう1つレベルアップが必要だと思う。個の走力と強さが求められる。個人種目の100メートル、200メートルとリレー種目を両立して走りきれる体力だ。個人でも五輪決勝を目指せる選手が増えてきたが、自分の目標とチームの目標を両立できる選手はまだ一人もいないと感じる」

 主軸が固まっている現状は連係面で頼もしい反面、リスクもはらむ。桐生、山県、飯塚らが故障した15年北京世陸は予選で敗退した。

 「リオ(五輪)、ロンドン(世陸)を両方走ったのは(桐生)祥秀と飯塚。仮に、この2人が抜けた時にどう対応するか。メンバーを固定し続けると、主力が外れた時にどうするか悩みも生じる。現状は結果を出せているけど、オプションも考えて柔軟に対応することが必要になる」

 日本は00年シドニー五輪以降、5大会連続で入賞以上。自身も04年アテネ五輪から3大会連続で貢献した経験を踏まえ、選手たちの慢心を最も恐れている。

 「ロンドン五輪5位(後に繰り上がり4位)で悔しい、と思えるようなチームを作れたのは自信だと思っている。ただ、安易に入賞できてしまうことには危機感がある。リオ銀で目標が引き締められて、東京五輪へどうアプローチしていくのか。最初に問われるのが今大会になる」(08年北京五輪400メートルリレー銅メダリスト、富士通陸上競技部一般種目コーチ)

 ◆高平 慎士(たかひら・しんじ)1984年7月18日、北海道・旭川市生まれ。34歳。五輪は順大時代の2004年アテネ大会に初選出され、400メートルリレー4位入賞。08年北京大会は銅メダル、12年ロンドン大会も4位に導いた。17年の全日本実業団対抗を最後に現役を引退した。180センチ、62キロ。

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