【ロンドン五輪代表・九鬼巧手記】スキあればこのメンバーに入れるよう東京まで勝負だ

スポーツ報知
九鬼巧

 東京五輪の金メダルには「リレー侍」メンバー入りを争う選手層の厚さが不可欠だ。現代表を脅かそうと闘志を燃やす12年ロンドン五輪代表の九鬼巧(26)=NTN、写真=が手記を寄せた。ロンドン五輪代表で同僚だった山県と同じ92年生まれ。現代表の活躍は、かつての代表戦士の目にはどう映っているのか。

悔しい リレーでこんなに急激に世間が騒ぎ出すとか、記録や成績が上がるとは想像していなかった。驚いているし、悔しい部分もあるし、不安になる部分もある。リオ後はメンバーがテレビやメディアにも多く出た。遠い存在になっていくようなモヤモヤした感じがした。タキシードを着てモデル雑誌に載っていたり。別世界の人のようで。でも、まだ勝負したい。このままじゃ辞められない。

 同期の山県と話すと、考え方が変わったなと感じる。どちらかと言えばウェートが嫌いで走って筋肉をつけたいと言っていた彼が、重りを持ってトレーニングしている姿は想像できなかった。腰痛で挫折しながらも進化している。自分も走りの感覚を変えないと上には行けない。昨年からは体操クラブで平行棒やつり輪を使ったトレーニングも始めた。今のままなら置いていかれる。「走りが変わった」と言われるくらい、チャレンジしないといけない。

 補欠で走れなかったロンドン五輪のユニホームは、実家に眠ったままで全然見ていない。でも「JPN」のゼッケンだけは、今も目に付くように自宅の冷蔵庫に貼ってある。あの悔しさを忘れたくない。もう一回頑張るんだぞ、と。注目されているリレーや100メートルをできているのは光栄なこと。東京まであと2年。隙あらば代表に入れるよう、一年一年勝負をかけていきたい。(談)

 ◆九鬼 巧(くき・たくみ)1992年5月18日、和歌山・有田市生まれ。26歳。和歌山北高時代の09年世界ユースで100メートル6位入賞。山県は同大会4位で、高校時代から同学年のライバルだった。早大在学中のロンドン五輪リレー代表に選出。15年NTN入社。100メートル自己ベストは10秒19(13年)。実家はみかん農家で、戦国時代に水軍を率いた九鬼氏の子孫。170センチ、64キロ。

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