【篠原信一の柔道一本】9・20開幕の世界柔道 最終合宿に突撃 ウルフ・アロンはハングリーな狼だった
5日に東京・北区の味の素トレセンで行われました「第5回全日本柔道男子強化合宿」の取材に行ってきました!
○2018年バクー世界選手権大会(20~27日)
男子日本代表選手
▼60キロ級 高藤直寿(パーク24)
永山竜樹(東海大4年)
▼66キロ級 阿部一二三(日体大3年)
▼73キロ級 橋本壮市(パーク24)
▼81キロ級 藤原崇太郎(日体大2年)
▼90キロ級 長沢憲大(パーク24)
▼100キロ級 ウルフ・アロン(了徳寺学園職)
▼100キロ超級
原沢久喜
小川雄勢(明大4年)
【スポーツ報知で評論します】というわけで! 世界選手権に向けての最終合宿という事で、選手たちは気合の入った稽古をしているだろうと、道場へ行ってまいりました。今回の世界柔道では、スポーツ報知本紙で90キロ級以上の重量級の評論を書かせていただく事になりました。担当するのは90キロ級の長沢憲大選手、100キロ級のウルフ・アロン選手、100キロ超級の原沢久喜選手と小川雄勢選手。ぜひ、注目してみたいなーと。
世界選手権は金銀銅ざっくざくのメダル量産を狙う20年東京五輪への試金石となる大会です。井上康生監督も声を出して指示を出していましたね。選手もい~い雰囲気で稽古してるな~と。
【念入りでした!】
まずは、立技からの寝技の移行を念入りに反復練習。その後に、不利な組手の状態から相手に技を掛けさせて、その技を受けてからの立技から寝技への移行など。背負投、袖釣込腰、内股など相手が技を入ってきた時に受けてから寝技の移行も行ってました。試合でこういった状況や、また、動きの中での対応を何度も繰り返し、繰り返し、反復練習をする事によって、試合では身体が反応してソツのない試合が出来るのかと!
篠原の心の声「そういえば! ボクも反復練習させられたな。立技から寝技の移行を…」
斉藤仁先生から「お前は投げても寝技に行かないやないか!」ってよく言われたなぁ…。篠原の心の中に存在する天使の「ホワイト篠原」が耳元でささやく。
ホワイト篠原「投げて抑え込みに行こうとして逃げられた時の疲労感が(汗)」
篠原の心の中に存在する悪魔の「ブラック篠原」が耳元でささやく。
ブラック篠原「投げた時は、ほとんどが1本ですから!」
立技も選手がそれぞれ課題を持った稽古をしていました。大会は軽量級から始まり重量級は最終日ということもあるのでしょうか、重量級の試合までまだ日にちがあるのでガンガン追い込んだ稽古をしていました。いい汗かいてるぅ~! さて、選手に話を聞いてみよっと!
【チョコッと男】
篠原「どうですか調子は?」
長沢選手「調子は上がってきています」
篠原「いいね! 世界選手権が近づいて来ましたが」
長沢選手「右膝半月板損傷による痛みはあるのですが、ここに来ていい稽古が出来てきていますし、『柔よく剛を制す』で行きたいと思います」
篠原の心の声「柔よく剛を制す? どういうこと?」
篠原「あの…同じ階級ですし、身長は違っても体重は同じなので…」
長沢選手「ですよね(笑)…外国人選手は力が強いので、力では無く技術でカバーしたいですね」
篠原「そうは言っても技術だけでは対応できない場面も出て来る事もあると思いますが」
長沢「時には乱暴に!」
ホワイト篠原「言い方があるでしょうが(笑)。時には激しくとか力強くとか!」
篠原「いい稽古してましたが、疲れはないのですか?」
長沢選手「疲れを感じたらチョコレートを食べます。チョコとクッキーのアルフォートが大好きです。またはグミです。ハリボのグミです」
ブラック篠原「そうなのね…その情報はチョコッとでいいか!」
篠原「ありがとうございました。ケガしないように稽古してください」
【ハングリーな男】
篠原「稽古お疲れさまでした。どうですか調子は?」
ウルフ選手「調子もいいです」
ホワイト篠原「調子も! 『も』って??」
篠原「なんかデカくない?」
ウルフ選手「わかりますか?」
篠原「わかるよ!!デカい! 減量は?」
ウルフ選手「あと8キロぐらいです」
篠原「えっ、8キロ!? 大丈夫ですか~?」
ウルフ選手「大丈夫です! 今から徐々に落として行きますので」
ホワイト篠原「名前と同じでハングリーな狼やな! 試合に向けて腹を空かせて、究極の肉体にして戦いに挑む! まさにウルフ」
篠原「そっそうなの…。ケガはないの?」
ウルフ選手「ボクは2連覇を目指してますので、多少のけが等は気にしてません!」
篠原の心の声「カッコいいぜ! ワイルドだろぉ~!? 胸毛もウルフだぜ!」
篠原「2連覇、期待しています」
ウルフ選手「ハイ!2連覇します!」
【ハッスルな男】
私と同じ階級のお二人にお話を…。
篠原「雄勢! お父さん(直也さん)、元気?」
雄勢選手「えっ、あっ、ハイ…」
篠原「じゃなくって(笑)初めての世界選手権が近づいてきましたね!」
雄勢選手「そうですね。金メダルしか狙ってません!」
篠原「いいね、いいね! 大会までの課題は?」
雄勢選手「組手を考えながらやっています。また、体力面での勝負だと思っていますので。組手をうまくいかしたいと思います」
篠原「体力面という事は走り込みもしている?」
雄勢選手「ランニングトレーニングもしっかりやっています」
篠原「期待しています。ハッスル、ハッスル!(腰クイッ、クイッ)」
篠原が妄想した雄勢の心の声「…………」
【リオ五輪銀メダル男】
もう一人の100キロ超級代表は原沢選手ですね。
篠原「追い込んだ稽古をしてましたが、調子は?」
原沢選手「調子は上がってきています」
篠原「(左足の)けがの具合も良くなったみたいに見えましたが」
原沢「いいです。あとは試合までしっかり出来ることをやりますので」
ホワイト篠原「原沢くん、ホント、真面目です」
篠原「原沢選手の笑顔を期待しております」
原沢「ハイ!」
ブラック篠原「今ちょっと照れてたような…」
重量級に関しては、五輪2連覇中のテディ・リネール選手(フランス)が出ないのであれば、なおさら! 個人的にも決勝戦はこの2人で! あとは二人の戦いを…み・た・い!
【井上監督の声】
やはりここは井上康生監督にお話をお聞きしないと~。
篠原「お疲れ様です。監督、少しお話をお聞かせくださいませ」
井上監督「先輩! ふつうに話してください(笑)」
篠原「世界選手権前の最終合宿ですから、真面目に行きたいと!」
井上監督「そうなんですよ!」
篠原「どうですか? 選手の調子は?」
井上監督「全体的に調子は上がってきています」
篠原「個人と団体戦とありますが、強豪国は?」
井上監督「イヤ~けっこう強いですよ! 階級によって違いはありますが…」
篠原「アジア大会もそうでしたが、アジア圏の国や韓国も強いですよね」
井上監督「そうなんです。ロシア、フランス、ブラジルなど」
篠原「試合の流れとか、勢いというのも大切だと思いますが」
井上監督「そうですね! 前半はストロングカテゴリーなので、ここが勝負で後につながりますね!」
篠原の心の声「ストロング……? カテゴリーって!? なんで横文字!? 相変わらずカッコいいぜ!」
篠原「ありがとうございます。応援しておりますので!」
井上監督「えっ? 先輩はアゼルバイジャンに来られないのですか!?」
篠原「オレは行きませんよ」
井上監督「先輩に来てもらいたかったです!」
篠原「なんで? あ~。な~るほど(ニヤニヤ)」
井上監督「もういいです! 先輩! 変なこと言ったり書いたりしないで下さいよ!(汗)」
選手と会話していて感じましたし、井上監督も言ってましたが、全体的に選手同士も仲が良くて、いい感じ! みんな明るく、個性のある選手たちばかりでした。期待度は満点! ハングリーに執念深く戦って欲しいですね!
◆篠原信一(しのはら・しんいち)1973年1月23日、神戸市出身。45歳。中学1年で柔道を始め、育英高、天理大を経て旭化成に入社。98~00年まで全日本選手権3連覇。99年世界選手権で2階級(100キロ超級、無差別級)制覇。2000年シドニー五輪100キロ超級銀メダル。03年に引退。08年に男子日本代表監督に就任し、12年ロンドン五輪で金メダル0の責任を取る形で辞任。