魔裟斗氏が箱根駅伝復活を目指す関東学院大に「反逆」の闘志を植え付ける

スポーツ報知
箱根駅伝復活を目指す関東学院大のランナーに熱い言葉で講演した格闘家の魔裟斗

 2004年大会を最後に箱根駅伝出場から遠ざかっている関東学院大は10日、横浜市金沢区の金沢文庫キャンパスに格闘家の魔裟斗氏(39)を招き、講演会を行った。「反逆のカリスマ」の異名を持つ魔裟斗氏は近年、低迷する関東学院大駅伝チームに「箱根駅伝出場を目標にするのではなく、箱根駅伝優勝を目標にしたらいい。強くなるための秘訣(ひけつ)は練習しかない」と熱く呼びかけた。

 関東学院大は70回記念大会の94年に箱根駅伝初出場。以来、6回、新春の箱根路に挑み、02年大会ではチーム最高の12位になったが、04年大会を最後に14年間も本戦出場を遂げていない。

 「箱根駅伝に出ていた頃の経験は今、ゼロになってしまっている。それに今年のチームはおとなしい選手が多い。ゼロから世界チャンピオンまで上り詰めた魔裟斗さんにチームの起爆剤となって闘争心を植え付けてほしいと思った。魔裟斗さんは関東学院大とは縁もゆかりもないが、お願いしたところ快諾していただいた」と上野敬裕ゼネラルマネジャー(GM)は魔裟斗氏の招聘(しょうへい)の理由と経緯を説明した。

 約40人の部員の前で、魔裟斗氏は自らの体験を踏まえ、熱く語りかけた。

 「私は高校1年で学校を辞めてしまった。もう、そこで人生崖っぷち。でも、人生最大の失敗が覚悟に変わった。まだ何も結果を出していない無名の頃から『オレは絶対に強くなるし、人気が出る』と言い続けていた。『箱根駅伝に出られたらいいな』と『箱根駅伝に絶対に出る』では全く違う。そして、箱根駅伝出場を目標にするのではなく、箱根駅伝優勝を目標にしたらいい。それは、本気で思わないとダメだ。キャプテンは『箱根駅伝で優勝する』と言い続けろ。最初は半分、いや、90%の選手たちが『何、言ってんの』と思うかもしれないが、言い続けていくことで思いは伝染する」

 数々の修羅場をくぐり抜け、頂点に立った男は頂点を目指すことの重要性を説いた。もちろん、高い目標を設定するだけでは、その目標は成し遂げられない。魔裟斗氏は、さらに熱く語った。

 「強い相手と戦う時『勝てない』と思った時点で勝てない。私は『勝てない』と思ったことはない。それを裏付けるのは練習しかない。私は世界一練習をしていたという自信がある。強さの秘訣は練習しかない。練習時間以外も食事、休養など1日24時間、競技を最優先する。私は夢の中でも戦っていた」

 魔裟斗氏は強くなるための“金言”も授けた。

 「自分に対して嫌なことを言う人を大切にした方がいい。私にはムエタイのトレーナー、ボクシングのトレーナーなど何人かのトレーナーがいたが、そのボクシングのトレーナーは嫌なことを言うから当時は嫌いだったけど、今、思えば、私のためを思ってくれる一番、いい人だった」

 魔裟斗氏は学生の質問にも誠実に対応。渡辺拓海(2年)が「どうすれば魔裟斗さんのように男らしくなれますか」と問うと「責任を持つこと。キャプテンをやればいい。実際には本当のキャプテンがいるので、気持ちだけでもキャプテンになる」と明確に答えた。

 約1時間の講演会は熱を帯びたまま、終了。主将の荒川将輝(3年)は「とても濃い時間でした。魔裟斗さんのアドバイス通り、箱根駅伝優勝と言い続けたい」ときっぱり。魔裟斗氏に“気持ちの主将”を任命された渡辺は「きょうの練習からキャプテンになったつもりで責任感を持って取り組みます」と表情を引き締めて話した。

 関東学院大は、昨年の予選会では、ぎりぎりの10位で本戦出場権を獲得した東京国際大と20分55秒差の24位に終わった。約1か月後に迫った今回の予選会(10月13日、東京・立川市)でも苦戦は必至だ。それでも、諦めるわけにはいかない。魔裟斗氏直伝の“反逆”の魂を胸に箱根路を目指して走る。

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