【箱根への道】東洋大、打倒・青学へ米国遠征と黒姫合宿で経験積んだ

スポーツ報知
25キロ走を行う東洋大

 日本学生対校選手権(日本インカレ)が終わり、夏の走り込みも終盤に差しかかっている。打倒・青学大に燃える東洋大は、米国遠征(8月21~28日)で得た感性やチームワークで王座奪還を狙う

 強まった絆から、鉄紺の逆襲が始まる。東洋大は8月の米国遠征中に、駅伝大会「Hood to Coast」へ6年ぶりに出場。副将の山本修二(4年)は「砂利道、クロカン、信号待ち…何でもありの300キロ。そんな中だからこそ『つなぐ』という意識が大事でした。支え、支えられて感謝の走りができました」と、振り返った。

 オレゴン州のマウントフッドからオレゴンコーストまでの199マイル(約317キロ)を、12人が3回ずつ走ってつなぐ壮大な駅伝。夜中もヘッドライトを装着して走り続け、16時間52分49秒1で参加1148チームの頂点に立った。「本気で勝ちにこだわるというか、自分たちが走る理由を再確認できました。人生を懸けて取り組まないといけない」。日本では体験できないサバイバルレースの中で、駅伝シーズンへのヒントを得た。

 トレーニングより経験を積むための遠征だった。酒井俊幸監督(42)は「(米国は)文化も考え方も何もかもが違う。チームとして体験することで一体感も増し、参加できなかったメンバーへ持ち帰れるものも多い。自分自身で考える力や感性を磨いて欲しかった」と説明。箱根1区区間賞の西山和弥(2年)は「楽しさの中にも人間性を学べました。距離走より大切なものが見えた気がします」。恵まれた環境への甘えや妥協を捨て、チームワークで困難を乗り越えた。

 帰国後は長野・黒姫で合宿(3~8日)を敢行。酒井監督は「スピードは追わずにとことん距離を踏んだ」と話し、米国で行わなかった泥臭い走り込みでスタミナを培った。山本副将は「3冠も狙えると思います。出雲からいい状態で臨みたいです」と、手応え十分。箱根駅伝10年連続3位以内の勝負強さに加え、米国仕込みのチームワークを手にした。(太田 涼)

 ◆インスタ開設 東洋大陸上競技部・長距離部門がインスタグラムに公式アカウント(toyo.tu)を開設した。選手の練習風景や酒井監督のオフショットなど、貴重な写真も閲覧可能。マネジャーらが中心となって運営しているため、コメントへの返信は控えている。8月の米国遠征の様子も投稿されており、ハッシュタグは「#その1秒をけずり出せ」。

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