【中村兼三の目】阿部一二三&詩、お互い刺激し合いいいイメージできた

スポーツ報知
阿部一二三(右)と妹・詩

◆世界柔道第2日(21日、アゼルバイジャン・バクー)

 93年世界選手権で2人の兄が優勝。自身も96年アトランタ五輪71キロ級で金メダルを獲得し、中村3兄弟として知られた中村兼三氏が阿部兄妹の強さを分析した。

 第2日の阿部兄妹は、お互いに刺激し合っていいイメージができた結果、2人で勝つことができたのかなと思う。私も(現役時代に2人の兄に)常に刺激を感じながらやっていたし、客観的に自分を見られることにもつながる。対戦相手や審判、観客などを違った視線から見ることで、視野が広がる部分はあった。

 一二三は組み際や組んでからの技、相手の状況に合わせてかける技もあり、さすがだ。強引さと柔軟さを兼ね備え、状況によっても技が変化している。負ける感覚がしないのかなという気がする。強引に持っていく技は年齢を重ねるとけがにつながることもあるので力をポンと抜いた技を身に付ければ、もう一つ大きく成長するのではないか。

 詩は両袖を持ったところでの袖釣り込み腰や担ぎ技は兄と非常に似ている。寝技も少し形になってきた。若いうちは投げて勝つ方が早いと思いがちだが、競った勝負で寝技は重要。それを若い時点で感じて、身に付ければ、厳しい試合を勝ち抜くことにつながっていく。女子52キロ級は今回詩が勝ちきったことで、志々目や角田を頭一つリードした印象だ。(旭化成監督、全柔連強化委員会副委員長)

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