芳田司が涙の金メダル「銀メダルとは全然違いますね」

スポーツ報知
芳田司

◆柔道世界選手権 第3日(22日、アゼルバイジャン・バクー)

 【22日=林直史】女子57キロ級の芳田司(22)=コマツ=が初優勝を飾った。決勝でネコダ・スミスデービス(英国)を合わせ技一本で下し、前回銀メダルの悔しさを晴らした。

 芳田が1年前に流した悔し涙をうれし涙に変えた。最大の山場だった出口クリスタ(カナダ)との準決勝は延長の末、得意の跳ね上げるような内股で技ありを奪い、決勝は合わせ技一本で勝利。決勝で12分56秒に及んだ激戦の末に敗れた昨年の雪辱を果たし、「あの悔しさがずっとあった。ホッとした気持ちでいっぱい。金メダルと銀メダルは全然違いますね」とかみしめた。

 幼少期にバレエを習っていたため、体の柔軟性が強みだ。当時は可動域を広げるため涙を浮かべながらストレッチをしたこともあったが、その成果から「開脚は前も後ろもペタっていきます。強みとして生かされている」と振り返る。一方で、3年ほど前から関節の小さなけがに悩まされるようになった。

 昨年の世界選手権後には9月、米スタンフォード大学に短期留学した。名門大学で約2週間、トレーニングについて学び「関節にどうアプローチしていくか。視点を変えた」。体のケアや維持を目的としたストレッチにも取り組むようになった。それでも6月には右足首を痛めたが、大会前には足腰の守護神として知られる京都の「護王神社」に参拝。「けがを経て、試合に臨む気持ちの部分で昨年より成長できている」と自信を持って畳に上がった。

 中学時代から63キロ級の田代未来(みく、24)の背中を追いかけ、姉のように慕ってきた。リオ五輪には練習相手として同行したが、今大会は初めてそろって代表に入り、この日の朝にはLINEで「しっかり深呼吸して思い切ってやってこい」と背中を押されていた。23日に試合を控える所属の先輩にも最高の形でバトンをつないだ。同階級では今年に入り、ロンドン五輪金メダルの松本薫(31)が本格復帰。競争は激しさを増す中で「自分に自信がついた。そこが一番大きいかな」。22歳が代表争いを大きくリードした。 

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