新井千鶴、2連覇にうれし涙「本当にうれしい」 コンタクト外れるも一本勝ち

スポーツ報知

◆柔道世界選手権 第5日(24日、アゼルバイジャン・バクー)

 【24日=林直史】女子70キロ級で新井千鶴(24)=三井住友海上=が2連覇を達成した。決勝でガイー(フランス)に合わせ技一本で勝利した。同級の日本勢による2連覇は隔年開催だった2001、03年の上野雅恵以来で15年ぶり。同階級で初出場の大野陽子(28)=コマツ=と男子90キロ級で初出場の長沢憲大(24)=パーク24=は銅メダルを獲得。ともに準々決勝で敗れたが、敗者復活戦と3位決定戦を制した。日本勢は男女とも開幕から5日連続で全13人がメダルを手にした。

 2連覇を決めた瞬間、感情をこらえきれなかった。常に冷静な新井には珍しい涙。「昨年チャンピオンになってから、勝ちきれなくて悔しい思いばかりしてきた。本当にうれしい」。準決勝は両目のコンタクトレンズが外れ、視界がぼやける中で一本勝ち。決勝は開始直後に技ありを奪われながら内股からの縦四方固めで合わせ技一本。「正直、何で投げたか覚えてない。無我夢中だった」と執念が際立った。

 本命視された16年リオ五輪の代表落選を乗り越え、17年に初めて世界女王となった。だが「自分の中で守る気持ちがあった」。練習でもどこかで投げられることを嫌がり、積極性が失われた。さらに海外勢からは「新井はこうしたら嫌なんじゃないかというのが徹底されていた」。投げ技を警戒され、まともに組ませてもらえない状態が続いた。

 国内外の4大会で優勝を逃し、女子の増地克之監督(47)に「挑戦者としてやってみよう」と諭された。子どもの頃から体格に恵まれ「上からガバッて持って足技をちょちょってかけて勝っていた」。得意の内股や大外刈りで結果を残し続けてきたが、海外勢の徹底マークを打ち破るため、幅を広げることを決断。柔道人生で初めて担ぎ技を練習するようにもなった。

 この階級の2連覇は所属のコーチでもある上野雅恵が記録して以来だ。「やっと雅恵先輩に並べて、ここからまた出発できる」。今度こそ、強い世界女王であり続ける。

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