喜友名諒、完全Vで初の年間王者「誰が見ても強いのが理想」井上尚弥70秒KO劇に刺激

スポーツ報知

◆空手 プレミアリーグ東京大会最終日 ▽男子個人形決勝 (14日、東京武道館)

 男子個人形決勝で、16年世界選手権金メダルの喜友名諒(28)=劉衛流龍鳳会=が本(もと)一将(23)=AGP=との日本勢対決を5―0で制し、優勝した。自身初となるプレミアリーグ年間王者のタイトルも決定。3連覇に挑む世界選手権(11月・マドリード)へ大きな弾みをつけた。女子組手68キロ超級の植草歩(36)=JAL=は決勝でN・ガルシア(フランス)に1―2で敗れたが、2季連続の年間女王の座は確保した。

 衣擦れの音が響いた。喜友名の気迫が、3800人の心を揺さぶった。決勝はルール上、国内大会で使えず、国際大会限定の勝負形にしている「アーナン大」。次々と繰り出す突きや蹴りで力強さを表現し、今大会5戦全て5―0の完全Vを締めた。今季プレミアリーグは出場5戦4勝。文句なしの年間王座もつかんだ。「日本の皆さんに世界で戦っている姿を見せられた。本番で自分の力を出すことができた」と静かにうなずいた。

 「突きや蹴りの一発一発、誰が見ても強いのが理想」。形は相手と直接対決しないが、実際に敵を倒せるほど速くて力強く、そして美しい演武が評価される。技を磨くには、広い視野も必要。他競技も積極的に参考にするようにしている。

 7日に行われたプロボクシングWBA世界バンタム級王者の井上尚弥(25)=大橋=の70秒KO劇に刺激を受けた。「(空手の)突きは、ボクシングと一緒。スピードとか、どうやって当てるか、タイミングや当てる場所もあると思う。体の使い方とかは参考になる」。理想を体現する筋力強化も進め、体重は世界選手権初出場した12年の頃から10キロ近くも増えた。

 地元凱旋を飾り、世界選手権へ最高の弾みをつけた。世界ランク3位の新馬場一世(29)=西濃運輸=、同6位の本らが力をつける中でも、世界1位に立つ喜友名の存在感は揺るがない。「技もフィジカルも、常に進化することがテーマ」。妥協せず、己に厳しく。終わりのない形の探究が、東京五輪金メダルにもつながっていく。(細野 友司)

 ◆喜友名 諒(きゆな・りょう)1990年7月12日、沖縄市生まれ。28歳。5歳で競技を始め、興南高を経て沖縄国際大進学。世界選手権は大学4年時の2012年に初出場し、銅メダル。14、16年大会2連覇。170センチ、78キロ。座右の銘は「努力に勝る天才なし」。

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