スーパーGT最終戦「ホンダ8年ぶり奪冠」

スポーツ報知
GT500クラスを制したレイブリックの(左から)ジェンソン・バトン、高橋国光監督、山本尚貴

 自動車レースのスーパーGT最終戦の決勝が11日、栃木・ツインリンクもてぎで行われ、ランキング首位のレイブリックNSX―GT(山本尚貴、J・バトン)が、同点首位にいたキーパー・トムスLC500(平川亮、N・キャシディ)を激戦の末に下して3位でフィニッシュ。キーパーを3ポイント差で退け、チームにとって初のSGT王者となった。GT300クラスはレオン・CVSTOS・AMGの黒沢治樹、蒲生尚弥組が優勝した。

 先にゴールしたほうが王座につく。このシンプルなタイトル決定戦が最高潮に達したのは、チェッカーまで残り10周を切った時だった。30周目に山本と交代し3番手を守っていたレイブリックのバトンに、同じ周に僚友のキャシディからステアリングを託されたものの、コース復帰のタイミングのあやで8番手に後退したキーパー・トムスの平川が、瞬殺の勢いで先行車をなぎ倒して急接近。43周目、平川はついにバトンの背後に迫ると、元F1王者を相手に容赦ない攻撃を開始した。

 最年少SGT王者として連覇に挑む平川と、F1時代から縁の深いホンダに8年ぶりのSGT王座をもたらしたいバトン。両者の意地をかけた接触スレスレの息詰まる攻防戦を、ホンダ、トヨタ両陣営も固唾(かたず)をのんで見守っていたが、結局バトンが元世界チャンピオンの技と貫禄で若い平川の攻撃をしのぎきった。

3位死守 F1王者とはいえ、屋根付きマシンのレース経験がほぼ皆無のバトンに、NSXの走り方、SGTでの戦い方を一から教えたのは山本だった。フォーミュラカーの頂点を極めたバトンのプライドに配慮しつつ、F1を頂点に抱くフォーミュラレースとはまったく異なるSGTの指南役は楽ではなかったが、それは山本にとってもNSXというマシン、そしてSGTというレースを見直す機会にもなった。他のNSX勢が苦戦続きの時も、チーム・クニミツだけは最も重いウェートハンデで戦ったタイ戦以外、ポイントを取りこぼすことがなかったのも、山本とバトン、互いにリスペクトしあう2人のドライバーの知恵と経験が相乗効果となり、どんなコースや状況でもレクサス勢を相手に戦えるマシンに仕上げることができたからだ。

 「F1での10年間に匹敵するものをこの1年で学んだ」とバトン。「つらく苦しい時も頑張って支えてくれたホンダ、チーム、ファン、そしてJB(バトン)に感謝しかない」と、14年ぶりに国内2大トップカテゴリーを制した山本。チームに94年の全日本GT選手権時代の参戦以来、初タイトルをもたらした日・英最強タッグの歴史はいま始まったばかりだ。

◆山本 尚貴(やまもと・なおき)1988年7月11日、栃木県出まれ。30歳。鈴鹿サーキットレーシングスクール出身。2013年スーパーフォーミュラ初戴冠。今季はN・キャシディを1点差で下して2度目のスーパーフォーミュラ王者にも輝いた。

 ◆ジェンソン・バトン 1980年1月19日、英国生まれ。38歳。2009年F1世界王者。F1完全引退後の今季、縁の深かったホンダ系のチーム・クニミツからSGTにフル出場。参戦初年度の戸惑いを感じさせない走りでSGT王座をホンダにもたらした。

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