阿部詩V2!世界柔道内定…大人の柔道で3戦全敗の角田封じ

スポーツ報知
 女子52キロ級決勝、角田(左)に投げ技をかける阿部詩(カメラ・馬場 秀則)

◆柔道 グランドスラム大阪第1日 ▽女子52キロ級決勝 ○阿部(反則勝ち 4分57秒)角田●=延長=(23日、丸善インテックアリーナ大阪)

 男女4階級が行われ、女子52キロ級は阿部詩(18)=兵庫・夙川学院高=が大会2連覇で来年の世界選手権(8~9月・東京)代表に内定。準決勝で志々目愛(24)、決勝で角田夏実(26)=ともに了徳寺学園職=を破った。男子66キロ級の阿部一二三(21)=日体大=は決勝で丸山城志郎(25)=ミキハウス=に敗れ、2年連続の兄妹優勝を逃した。同60キロ級は永山竜樹(22)=東海大=が制し、世界選手権2連覇の高藤直寿(25)=パーク24=は初戦敗退。女子48キロ級は渡名喜風南(23)=パーク24=が優勝した。

 難敵を破った阿部詩の笑顔がはじけた。過去3戦未勝利だった角田との決勝。「がむしゃらに何も考えずに前に出る柔道が取りえですけど、それで3回負けている。(今回は)しっかり相手を見て、攻めるところは攻める、守るところは守ると考えました」。相手の得意技の巴(ともえ)投げを封じて主導権を握り、指導3による反則勝ち。オール一本勝ちで2連覇を達成した。

 敗戦と向き合い、発想を転換した。これまでは負けた試合の映像を見ることを嫌っていたが「(同じ相手に)4回負けたら話にならない。しっかり負けた経験を生かさないと、周りの人にも成長を見せられないと思った」と意を決した。9月の世界選手権(バクー)で金メダルを獲得した後、角田と前回対戦した4月の全日本選抜体重別選手権で敗れた際の映像を何度も見返し、感じた課題を練習で反復した。

 精神面でもたくましさを増した。昨年は世界選手権出場を逃し、追いかける立場の“3番手”からの優勝だったが、今回は世界女王として臨んだ大会だった。それでも「びっくりするぐらい緊張しなかったです。多分、世界選手権という舞台を経験したので」。初戦はわずか10秒で一本勝ち。準決勝では世界選手権決勝で戦った志々目に鮮やかな内股すかしを決めた。女子の増地克之監督も「大人の柔道。勝ちに徹したのを感じた」と成長に目を細めた。

 最激戦区の女子52キロ級でライバルの志々目、角田を破り、東京五輪代表争いで一歩リード。世界選手権優勝者がこの大会も制すれば翌年の世界選手権代表に内定する制度導入2年目で、女子で初めて内定をつかんだ。「自分をつくる時間があると思う。いろいろなことに挑戦して、もっと新しい自分を見つけていけたら」。勝ち取った長い調整期間を活用し、さらなる進化を目指していく。(林 直史)

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