福岡マラソン制した服部勇馬の恩師、東洋大・酒井俊幸監督「次は5分台を」

スポーツ報知
酒井俊幸監督

◆福岡国際マラソン(2日、福岡市平和台陸上競技場発着42・195キロ)

 マラソン4回目、大会初出場の服部勇馬(25)=トヨタ自動車=が2時間7分27秒でマラソン初優勝を果たした。伝統の福岡国際マラソンで日本人の優勝は2004年大会の尾方剛以来、14年ぶりの快挙。前日本記録保持者の設楽悠太(26)=ホンダ=は2時間10分25秒で日本人2番目の4位だった。服部、設楽の東洋大時代の恩師、酒井俊幸監督(42)は今回、2分以上も自己ベストを更新した服部に対し、次のレースでも2分の自己ベスト更新を期待した。

 努力型の服部勇馬。天才肌の設楽悠太。タイプの異なる2人の教え子の激走をテレビのゲスト解説者として現地で見守った酒井監督は熱く、優しく、思いがこもった言葉でたたえた。

 服部は自己ベストを2分19秒も更新してマラソン初優勝を飾った。「勇馬は学生時代からレースで出た課題を真正面から受け止めて次のレースに生かす努力ができる選手だった。今回の好成績もこれまでの経験を生かした結果だと思います」と酒井監督は話す。

 東洋大時代から服部は悔し涙と歓喜の涙を繰り返し、成長した。大学1年時の全日本大学駅伝。服部はルーキーながら最長(19・7キロ)の最終8区を任された。トップでタスキを受けたが、駒大の窪田忍(26、現トヨタ自動車)に逆転を許して涙した。「勇馬は1年生の時のあの悔しさを忘れず、3、4年時には箱根駅伝2区で区間賞を獲得する選手に成長した」と酒井監督は懐かしそうに話した。

 成功も失敗も次に生かすことができる服部に対する期待は大きい。「今回、2分以上、自己ベストを更新したが、その中で勇馬は自分なりの課題を見つけていると思う。次のレースも2分更新して、2時間5分台を出すつもりで走ってほしい。実際、大迫傑選手(27、ナイキ)は2時間5分台(50秒=日本記録)で走っているわけですから、目標を高く持って頑張ってほしい」と日本記録更新を期待した。

 一方、2月の東京で16年ぶりに日本記録を更新した設楽悠太は4位にとどまった。「悠太は日本記録を出して一躍、注目されるようになった。東京マラソンの反動もあったでしょう。プレッシャーがある中で最低限の走りはできた。また、次、頑張ってくれるでしょう」と酒井監督はいたわりながら激励した。

 今回、服部は2020年東京五輪マラソン日本代表選考会のMGC(2019年9月)の出場権を獲得した。東洋大出身ランナーとしては設楽、山本憲二(29)=マツダ=に次ぎ3人目。出身大学別では東洋大は最多だ。「箱根駅伝を目指しながら、その先の世界も見据えた指導を心がけています」と酒井監督は言う。(ちなみに東洋大は、酒井監督の教え子ではないが、前回のリオ五輪でもマラソン男子代表3人のうち、石川末広(39)=ホンダ=、北島寿典(34)=安川電機=と2人の選手を送り込んだ)。

 酒井監督が生み出したチームモットーは「その1秒をけずりだせ」。その心意気は箱根路から世界に通じている。

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