服部勇馬が日本人14年ぶりV 東京五輪へ箱根組4強時代に

スポーツ報知
36キロ過ぎ、アフリカ勢2人を振り切り先頭に立った服部勇馬(代表撮影)

◆マラソングランドチャンピオンシップシリーズ 福岡国際マラソン(2日、福岡市平和記念公園陸上競技場発着=42・195キロ)

 服部勇馬(25)=トヨタ自動車=が自己記録を2分19秒更新する日本歴代8位の2時間7分27秒で、日本人14年ぶりの優勝を果たした。苦手だった35キロ以降で驚異のペースアップ。東京五輪代表選考レースのマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権を得た。前日本記録保持者の設楽悠太(26)=ホンダ=は2時間10分25秒で4位だった。(晴れ、気温20・2度、湿度47%、東南東の風2・7メートル=スタート時)

 東京五輪の星が、また1人誕生した。ラスト100メートル。服部は顔を覚えてくださいと言わんばかりに帽子とサングラスを外して駆け抜けた。日本人の優勝は2004年大会の尾方剛以来14年ぶり。「うれしいけど実感はない」と4度目のマラソンを笑顔で振り返った。

 東洋大時代の先輩・設楽を32キロ過ぎで置き去りにした。前日本記録保持者に2分58秒の大差をつけた快走に、日本陸連の尾県貢専務理事(59)は「3強と言われていたが確実に4強になった」と絶賛。大迫傑、アジア大会覇者の井上大仁、設楽に割って入る実力は十分だ。箱根駅伝で名をはせた4人が、世界を目指して火花を散らす。

 これまで35キロの壁にぶち当たっていたが、今回は残り7・195キロを21分15秒でカバー。大迫がシカゴで日本記録を樹立した際と比べて18秒速いラップを刻み「あれだけやってきたのだから、と自信がありました」と後続を突き放した。

 陸連が主催し、井上らと参加した今夏の米国ボルダー合宿で「全然走る量が足りていなかった」と練習内容や心構えを見直した。マラソン前の40キロ走は3回から7回に増やし、45キロ走も取り入れた。「1キロ3分ペースの動きを、どんな時でも心がけた」。2時間以上のジョグも行い、効率的な動きを体にしみこませた。

 仙台育英高時代の恩師・清野純一氏(34)は「10言ったら真面目に10取り組んでいた。弟の弾馬(23、トーエネック)はその半分以下だったけど」と振り返る。入学時は太っており「勇“馬”じゃなくて“牛”だよ」と冗談で言うほどだったが、ストイックさで才能が開花。5000メートル13分台、1万メートル28分台と高校トップレベルにまで力を高めた。

 MGCまで286日。「勝ち切れたことは大きい」と4強の自覚は十分だ。東洋大のスローガンを継承し「最後はその1秒をけずりだせていました」。箱根から世界へ、大きな一歩を踏み出した。(太田 涼)

 ◆MGCレース 東京五輪代表3枠のうち2枠を一発勝負で争うMGCレース(19年9月15日)へ出場する方法は〈1〉MGCシリーズで基準をクリア〈2〉ワイルドカード基準をクリアの2通り。〈1〉は国内指定競技会(男子5大会)で大会ごとに定められた順位とタイムで走ることで出場権を得る。〈2〉は世界陸連公認の競技会で設定タイム(男子は2時間8分30秒以内、もしくは上位2レースの平均が2時間11分以内)をクリアする必要がある。

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