篠原信一、突撃体験リポート 7人制ラグビー女子代表と五郎丸ポーズも「0点です」にトホホ
元柔道五輪メダリスト・篠原信一氏の突撃リポート第2弾は、20年東京五輪でのメダル獲得が期待される7人制ラグビーだ。女子日本代表「サクラセブンズ」の“虎の穴”ならぬ“桜の園”に潜入。ラグビー経験は天理大在学時の授業だけで、競技の知識もドラマ「スクール☆ウォーズ」だけ。16年リオデジャネイロ五輪から新種目入りした競技の難しさを肌で味わう以前に、楕円(だえん)球の扱いに四苦八苦する結果となった。
スポーツの秋!といえば、ラグビーですよ。「篠原と球技は水と油」と思った、そこのあなた! いえいえ。母校・天理大在学時代は、みっちりラグビーやってましたよ。授業だけでしたけど(汗)。
ラグビーの自己犠牲精神も知ってますよ。「ワンフォーオール…、オールインワン? なんだっけ?」(正しくはオールフォーワン)。まぁ柔道は個人競技でしたからね。「みんなは俺のために。俺は俺のために」みたいなところがありましたが。ちょうど子供の頃には熱血ドラマ「スクール☆ウォーズ」がありまして。「悔しいですっ!」と泣き叫んだ、あの「ウソップ」(イソップと勘違い)となって、ラグビーをじっくり味わいます!(関節ポキポキ)
ラグビーの基本中の基本。平野優芽からボールのキャッチの仕方を教わった。ポイントは両手で「三角形」の形を作り、胸の前に飛び込んできたところをしっかりつかむこと。前方に投げると「スローフォワード」、前にボールを落とすと「ノックオン」という反則を取られる。これに気をつけて、走りながらパスの練習をするが…。
篠原「簡単、簡単! ラブ全開! 生田斗真、鈴木亮平にそっくりの俺に向かって投げてこい~!」
威勢は良かったが、手の形が三角形ではなくハートマークに。これには平野選手も「う~ん」とダメ出し。楕円の形を生かし、回転させながらパスするスクリューボールにも挑戦。時間をかけて形にはなったが、採点の結果は100点満点で30点…(涙)。
平野「生田斗真、鈴木亮平に似ていると言った時点でシンビン(10分間の一時退場)です」
これも基本中の基本。ボールを持った相手の両膝裏をつかまえ、引いて倒す。7人制のため15人制と比べ反復の量がハンパなく多い。試合時間は15人制が80分(40分ハーフ)だが7人制は14分(7分ハーフ)。スタミナと集中力、持続力がより求められる。
日本代表の稲田仁監督によると、今夏のアジア大会では1試合のチーム平均タックル数は70回。つまり1人10回はタックルしていたという。「タックルした後が大事。2秒以内に立ち上がらないと次のポジションに移れない」と稲田監督。篠原が素人のため、形だけの指導に。長田を練習台に肩を当てるとビックリ仰天。
篠原「腹筋がボコボコ動く感触が肩に伝わる~!」
さて採点結果は…。女子ラグビー選手の魅力、腹筋を表現できたことで、3人合わせて75点!
ボールを持って相手のディフェンスに当たること。
大黒田「体を当てる際のポイントは、ボールを相手の体から遠ざけること。右から当たる場合は左手でボールを持つこと」
篠原「当たる際の気持ちは、どうすれば…」
大黒田「ブチ飛ばす! その気持ちです」
体重100キロ超の巨体にモノを言わせて当たる。タックル用のバッグを持ち選手3人で受けるが、やはり迫力は満点!
長田「ヒットの後は(足を)かく!」
篠原「よっしゃ~。かくんやな! ほれ~」(お尻をポリポリかき、怒られる)
長田「当たりは強かったので60点!」
篠原「こんなもんじゃないですって。まだまだ、10分の1の力しか出してませんって(ドヤ顔)」
ラグビー特有のセットプレー。対戦チームの選手同士で並び合い、ラインから入れたボールを競って奪い合う。まずはジャンパーを両側から高く持ち上げるリフティング技術を見学した。どれだけ高く跳べるのか? 比較対象としてゴールポストのクロスバー(高さ3メートル)を使用。大黒田裕芽、長田いろはがジャンパーの平野を持ち上げた。すると、到達点がクロスバーを超える高さに!
篠原「めっちゃ上がる! さすが、ラフテーの技術はすごいわ!(リフターと勘違い。ラフテーは沖縄の郷土料理)」
男子のロック並みに190センチ、100キロ超と自慢の肉体を武器に篠原も挑戦。「よっしゃ~」と自力でのジャンプを披露したが「2センチしか跳んでない…」(長田)と痛恨の結果に。
長田「2センチなので0・2点!」
篠原「100点満点で?(涙)」
キックオフや、トライ後のコンバージョンキックで行う。15人制ではトライ後にボールを地面に固定するプレースキックを行うが、試合時間の短い7人制ではボールを落として、弾んだ瞬間を狙って蹴り上げる。
篠原は打点の低いプロレスのドロップキックを披露。当然、大黒田からあきれ顔で勘違いを指摘された。
そこでひらめいた。「あ! そうか!」と胸元で両手を握り、人さし指をグッと突き上げた。腰をやや下ろすと膝を曲げた。仕上げに、眉間にしわを寄せて作った、このポーズ。どこかで見たような…。そう、大黒田、長田、平野もドン引きの「五郎丸ポーズ」だった。
大黒田「五郎丸さんはプレースキックがある15人制なんですけど…」
平野「五郎丸さんをマネした時点で0点ですね!」
篠原「ぐんむぅ~。黒ぅ丸かい…(涙)」
7人制ラグビーを体験する以前に、基本中の基本しかできませんでした(涙)。どこに転ぶか分からない楕円球の扱いの難しさに脱帽でしたね。走ってパスしてタックルして、さらに戦術も考えなくてはいけないんですから、本当に難しい。
個人競技の柔道とはひと味違う一体感も感じました。取材が終わった後。筋トレをしていたサクラセブンズの皆さんと記念撮影をしました。「ファイットォ~」「いっぱぁ~つ」とみんなで絶叫して、日本ラグビー協会さんからも記念のネクタイを頂きました(感謝感激)。
東京五輪に向けてはメダル獲得への決意と情熱も感じました。「前回のリオで何もできなかった屈辱を晴らしたい」(大黒田)、「東京という舞台でお世話になった方々に恩返しがしたい」(平野)、「東京は感謝の気持ちを届けたい」(長田)。リポビタンDは私も愛飲してるので、「ファイト、一発」の精神でガツガツ、頑張ってほしい!
◆東京五輪の7人制ラグビー
男女各12チームが出場。日本は9月に国際統括団体のワールドラグビーから男女の開催国枠を与えられている。日本以外は来年のワールドシリーズや各大陸予選、最終予選で決定。日本は、男子が19年W杯日本大会後に15人制の選手も加わる流れで代表争いが本格化。女子もワールドシリーズで代表の絞り込みが行われる見込みだ。
◆アジア大会V
日本は五輪の正式競技入りしたリオ大会で、男子が“王国”ニュージーランドやフランスなど上位国を破る快挙を果たしたが、メダルまであと一歩の4位。女子はメダルが期待されながら10位に終わった。15人制に人材が流れる環境の中、準備期間が足りず強化が遅れたことが敗因。強化や練習環境などを再整備し、今夏のジャカルタ・アジア大会では女子が悲願の金メダルを獲得。男子は4連覇を逃したものの銀メダルを持ち帰った。