【箱根への道】関東学生連合・鈴木陸、母校・明学大の誇りと元箱根ランナーの父の想い

スポーツ報知
明治学院大初の箱根駅伝ランナーとなる鈴木陸(右)は専大時代に箱根路を駆けた父・健さんと横浜市内をジョギングする(カメラ・竹内 達朗)

◆関東学生連合 前回21位相当(オープン参加)

 箱根駅伝予選会(10月13日)で敗退した大学のエースたちが集う関東学生連合。オープン参加のため、順位はつかないが、母校と自身のプライドをかけて22校に挑む。明治学院大史上初の箱根駅伝ランナーとなる鈴木陸(4年)はチームとして初出場を目指す後輩、苦楽を共にした同期、そして、専大時代に箱根に出場した父・健さん(50)の想いを力に変えて新春の夢舞台を駆ける。

 “箱根への道”につながる激走だった。11月24日、横浜市で行われた1万メートル記録挑戦会で明学大の鈴木陸は自己ベストを35秒も更新する29分50秒89で走り、連合チームの10番手に入った。

 「チームメートのおかげで走れた」。スタンドから身を乗り出して応援した明学大の仲間に祝福された鈴木陸は声を震わせて話した。

 今回の関東学生連合は東大の近藤ら予選会ハーフマラソン個人成績の上位8人はアクシデントがない限り出場が確定し、調整に専念。一方、下位8人は予選会ハーフマラソンと1万メートル記録挑戦競技会の合計タイムで残り2枠を争った。予選会11番手だった鈴木陸は10番手だった流通経大の石井を逆転し、出場権をつかんだ。

 2005年に「明学スポーツを強くするプロジェクト」が創設され、07年に陸上部長距離ブロックが強化クラブに指定された。箱根駅伝出場という究極の目標のための第一歩として、明学大初の箱根ランナーとなる鈴木陸は「責任と誇りを感じています」と表情を引き締める。「後輩たちに希望を与えるため、区間10位相当以内で走りたい。4年間、一緒に頑張ってきた同期には感謝している。給水係をしてもらって20メートル、一緒に箱根路を走りたいですね」と大舞台への思いを明かした。

 明学大は常連校とは違い選手寮がないため、茨城県出身の鈴木陸は3年生まで横浜市内で一人暮らし。今年から横浜市に転勤した父の健さんと同居している。健さんは専大時代、1990年大会の7区に出場(区間13位)。「アドバイスすることはないですよ」と謙虚に話す父だが、息子は「陰でずっと応援してくれていた。ありがとう。尊敬しています」と照れながら笑顔で話した。

 箱根駅伝を最後に競技の第一線から退く。明学大の先駆者はチームのため、家族のため一世一代の走りをする覚悟だ。(竹内 達朗)

 ◆元箱根ランナー「縁を感じる」

 明学大・鈴木陸の父・健さんと専大・小林彬寛(2年)の父・紀尚(としひさ)さんは茨城・日立工、専大を通じての同期でライバルだった。「息子同士が連合チームで一本のタスキをつなぐことに縁を感じます」と健さんはしみじみと話した。

 ◆関東学生連合 2003~13年に編成された「関東学連選抜」を改め、15年に再結成。予選会で敗退した大学の中から個人成績を参考に編成される。各校1人で外国人留学生を除く。前回から本戦出場経験がない選手に資格が改められたため、全員が初出場となる。チーム、個人とも順位がつかないオープン参加。07~13年はチーム、個人成績が認められており、最高成績は08年の4位。前回は21位相当。タスキの色は白。

 ◆戦力分析 予選会は次点の12位で惜敗した麗沢大の山川達也監督(34)がチームを率いる。「オープン参加だが、ひとつでも上の順位を目指す」という基本方針のもと、7~9日に千葉県内で合宿を行うなど強化を図っている。前回、1区を予定しながら直前にインフルエンザに感染し、無念の欠場となった東大・近藤は今回こそ1区を走る予定。2区には好調の駿河台大・西沢が抜てきされる見込みだ。予選会チームトップの亜大・米井は一時、練習を離脱したため10区に回ることが濃厚。前回は終始、最下位相当を走り続けた。今回は予選会敗退校のエースたちが「意地」を見せるつもりだ。

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