【箱根への道】日大・武田「同じユニホーム着て父超え」予選免除で批判も“逆風”にも父にも負けん

スポーツ報知
親子2代での箱根駅伝出場を目指す日大・武田悠太郎(カメラ・泉 貫太)

◆日大 前回不出場(2年ぶり88回目)、関東インカレ枠、出雲不出場、全日本11位

 第95回記念大会の箱根駅伝に「関東インカレ成績枠」で出場する日大が12日、東京・世田谷区桜上水のキャンパス内陸上競技場で練習を公開した。前回の予選会では次点の11位で本戦出場を逃したが、今回は予選会免除。一部の批判に対し、武者由幸監督(35)は「結果を残さないといけない」と強い覚悟を明かす。武田悠太郎(2年)は昭和後期のエースだった父・裕明さん(53)譲りの日大魂で5年ぶりのシード権(10位以内)を目指すことを誓った。

 2018年は“逆風”が吹き荒れた。

 5月上旬、日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題が発生。ワイドショーなどでクローズアップされていた5月下旬に関東インカレ成績枠で日大が箱根駅伝に出場することが決まった。前回敗退した予選会が免除されことで一部では心ないバッシングが起きた。「いつも通りやろう、とみんなに声をかけた」と主将の加藤拓海(4年)は当時を振り返る。主将の言葉に武田も「自分たちは自分たちです」とうなずいた。

 紺地に白のN。日大伝統のユニホームに対する武田の思いは熱い。東京実高3年時には5校から勧誘されたが、「日大で走りたい」という気持ちに揺らぎはなかった。その思いは父・裕明さんの存在が影響している。

 裕明さんは昭和60年代、日大のエースとして活躍。86~88年大会に出場し、2年6区3位、3年4区6位、4年2区3位と安定した成績を残した。

毎日LINEが 「小学生の頃、父と一緒に走り始めた。高校生の時は家でいつもマッサージをしてもらった。今でも、ほぼ毎日、LINEで連絡がある。正直、うるさいなと思う時もあるけど、ここまで成長できたのは父のお陰なので感謝しています。父と同じユニホームを着て父を超えたいと思っています」。武田は笑顔を見せながら話した。

 無事これ名馬。武田は「高校の時から練習を休んだことはない」という。長距離走という競技は練習を継続できれば右肩上がりで成長する。武者監督は「故障をしないための努力や知識は裕明さんが教え込んだものでしょう。箱根駅伝では裕明さんのように快走してくれるはず」と期待する。

 希望は1区。「チーム目標は8位。そのための流れをつくりたい」と武田は14年以来、5年ぶりのシード権獲得に意気込む。箱根路にたとえ逆風が吹いても日大駅伝チームは力強く突き進む覚悟だ。(竹内 達朗)

 ◆武田 悠太郎(たけだ・ゆうたろう)1998年9月28日、東京・調布市生まれ。20歳。小学校6年から本格的に陸上を始める。東京実高3年時の17年2月、青梅マラソン10キロの部で優勝。同年4月に日大法学部入学。尊敬する選手は川内優輝。「川内さんの粘り強い走りはすごい」。家族は両親。168センチ、54キロ。

 ◆関東インカレ成績枠 2014年に決められた第95回記念大会の特別出場枠。14~18年の陸上関東学生対校(関東インカレ)男子1部の短距離、フィールドなど全種目の総合得点(1位8点、2位7点…8位1点)が最も多い大学に出場権が与えられる。日大が5大会累計701・5点で2位の順大に185・5点の大差をつけてトップ。今年の予選会を免除され、本戦に出場することが決定した。

 ◆戦力分析
 ストロングポイントは2区のワンブィ。山梨学院大のモグスが10年前に打ち立てた区間記録(1時間6分4秒)の更新が目標だ。「パソコンでユーチューブを開いてモグスさんの走りを見て勉強しています」と上達した日本語で話す。

 ただワンブィに次ぐ準エース格や選手層などは不安が残る。1区候補は武田、横山、野田の2年生トリオ。「一番、調子のいい選手に任せたい。先頭から40秒以内でつなげば2区でトップに立てる」。武者監督のもくろみ通りに序盤でレースの流れに乗ることがシード権獲得の条件だ。

 ◆日大 1921年創部。箱根駅伝には22年の第3回大会に初出場。35年から4連覇を果たすなど歴代3位の12回優勝。出雲駅伝は優勝5回、全日本大学駅伝は優勝3回。タスキの色は桜色。長距離部員は選手66人、学生スタッフ4人。主な陸上部OBは俳優の和田正人、リオ五輪男子400メートルリレー銀メダルのケンブリッジ飛鳥ら。

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