【箱根への道】設楽悠太と練習したら…東京国際大のエース・伊藤、初シードへ加速

スポーツ報知
シード権獲得へ向けて気合を入れる東京国際大・伊藤達彦(カメラ・相川 和寛)

 ◆東京国際大 前回17位(2年連続3回目) 予選会6位、出雲、全日本不出場

 3年生エースの伊藤達彦が、チーム史上初のシード獲得へ起爆剤となる。今夏に実業団強豪のホンダの北海道合宿に参加。男子マラソン前日本記録保持者の設楽悠太(27)ら、社会人選手の練習レベルに刺激を受けた。11月には八王子ロングディスタンスで1万メートル自己記録28分28秒62をマークし、一躍、スピードランナーの仲間入り。今大会は2年連続となる2区起用が濃厚。前回区間15位の雪辱を果たし、チームを上位に押し上げる。

 3度目の箱根路を迎える紺青のタスキを、その身に背負って駆け抜ける覚悟がある。2年連続2区が濃厚の伊藤は「チームの代表として2区を任されている。区間1ケタでシード権に導きたい」と目標を掲げた。

 自身より1万メートルの持ちタイムが12秒速いケニア人留学生のM・タイタスがいながら、エース区間を託される意味―。大志田秀次監督(56)は「(伊藤は)予想以上の走りができる選手。前回も留学生がいる中で2区に使ったので、そこはあまり変えたくない」と信頼し、送り出す構えだ。

 今夏は約2週間、大志田監督が91~01年にコーチを務めていた強豪・ホンダの北海道合宿に加わった。「スピード練習が主で、設定タイムも普段より速い」(伊藤)。400メートル62秒のペースで1600メートルを走る練習のラスト1周のキツさは、忘れられない。マラソン前日本記録保持者の設楽悠太と言葉を交わす機会もあった。「上があると痛感させられた」。大学で満足していられない。持ち味の粘り強さにスピードを加えるべく、距離走でも自然と力が入った。

 陸上は大学までのつもりだった。しかし、2年生で箱根2区を走り、考えも変わった。「自分の力もついてきたし、実業団に進みたい」。指揮官も「頑張れて、粘れる子。日本人らしいマラソンランナーになると思う。2時間10分は切っていける」と将来像を描く。11月の八王子ロングディスタンスでは、実業団選手に交じって28分台中盤を出した。自己記録を18秒以上更新。夏合宿で受けた刺激を、形にできる姿が頼もしい。

 今大会で初シードを手にすれば、大学史上初となる19年出雲駅伝の出場もかなう。伊藤ら現在3年生の代が4年時の目標として掲げる“学生3大駅伝フル出場”へ第一歩となる。伊藤は「予選会でも今チームの力はついている。勢いを切らさずにやれば、シードを取れる」。歴史を変える先に、まだまだ夢は広がっている。(細野 友司)

 ◆伊藤 達彦(いとう・たつひこ)1998年3月23日、静岡・浜松市生まれ。20歳。浜松市立北部中ではサッカー部に所属し、浜松商高から本格的に陸上を始める。16年に東京国際大進学。箱根駅伝は2年時の18年大会で初出場し2区15位。169センチ、50キロ。家族は両親と姉、兄。

 ◆東京国際大 1965年、国際商科大として創立。86年に現校名となった。駅伝部は中大OBの横溝三郎総監督(79)、大志田監督の指導体制で11年に創部。選手75人、学生スタッフ7人。タスキ色は紺青。大学の主なOBは作家の横山秀夫。駅伝部の拠点は埼玉・坂戸市。

 ◆戦力分析 1万メートルの上位10人平均は全体8番目。初シードを狙う戦力が整い、大志田監督も「思ったように区間配置できて走れれば、駅伝の中で勝負できる」と見る。1~3区は予選会で好走した相沢、伊藤、留学生のM・タイタスで上位争いの流れを作れるか。山上り巧者の浜登貴也が卒業した5区には、加藤や会田が候補となりそう。復路は経験のある上級生を中心に手堅く進めたい。指揮官は「今年は(トラックでの)出場大会を絞ったが、少ない試合に状態を合わせて自己記録を出せている。力はついている」と自信を見せる。

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