【箱根への道】大東大・川澄が2区で証明“最強のエース”

スポーツ報知
手をつないでストレッチする大東大・川澄克弥(右)と奈良凌介(カメラ・生澤 英里香)

◆大東大 前回16位(7年連続50回目) 予選会7位 出雲、全日本不出場

 ド根性エースが大東大を4年ぶりのシード権獲得へ導く。急成長した川澄克弥(3年)は物おじしない積極的な走りで今季5000メートル、1万メートルで自己記録を大幅更新。箱根では、唯一、昭和から残る2区の大東大記録(1983年米重修一、1時間8分10秒)を塗り替え、来季のユニバーシアード(イタリア・ナポリ)、そして将来のマラソン日本代表入りへの足がかりとしたい。

 * * * * 

 大東大史上最強のエースを目指す。川澄は「ずっと2区を走りたかったが、下級生の時から口にできる度胸はなかった。今年からようやく言えるようになった」と自信に満ちた表情で言う。1年時4区17位、2年時3区12位と箱根路では苦しんできたが、「今季は監督からも『2区で勝負するぞ』と言われてきました。米重さんの記録と区間5位以内が目標」と他校のエースに引けを取らない力をつけた。

 今年は2月の熊日30キロロードレースで大東大歴代3位となる1時間30分48秒をマーク。関東インカレ1部1万メートルも5位入賞を果たし、チームの26年ぶりの1部残留に貢献した。奈良修監督(47)は「セコいことをしない選手。必要と思えば先頭で堂々走ってくれるから、内容も伴う。確実にレベルアップしてくれた」と評価する。

 予選会では個人39位、チームも7位通過と苦しんだ。「ビビらずついていって、エースたちの力を実感したかった」と留学生や学生長距離界のエース・塩尻和也(順大4年)らとレースを進めたが10キロすぎに脱落。日本人トップの塩尻とは2分以上の差がついた。「数字だけ見れば失敗に見えますが、落ち込んだというより、『まだいけるな』と手応えの方が大きかった」とあくまで前向きに振り返る。

 果敢に攻めるのは、その先に世界があるからだ。夢はマラソン日本代表。「箱根で終わる選手ではいけない」と強い決意を持つ。奈良監督も「2時間7分台はすぐに出るかもしれない。OBの(リオ五輪代表の)佐々木悟や市田(孝、宏)兄弟(現旭化成)らをしのぐ才覚がある」と太鼓判。来季のユニバーシアード代表も目標にしており、2区の大東大記録更新からのステップアップを狙う。

 チーム目標は5位以内。予選会順位などを考えると厳しいようにも見えるが、「ここ2年より、確実に力はついている。自分たちで自分たちを過小評価してしまっているだけ」と鼓舞する。箱根から世界へ。真のエースとなって羽ばたいてみせる。(太田 涼)

 ◆川澄 克弥(かわすみ・かつや)1998年2月1日、茨城・鉾田市生まれ。20歳。水城高では3年連続で全国高校駅伝に出場し1年1区50位、2年1区11位、3年5区4位。2016年4月に大東大スポーツ健康科学部入学。自己記録は5000メートル13分57秒71、1万メートル28分37秒20。目標とするマラソン選手は高岡寿成(現カネボウ監督)。175センチ、56キロ。

 ◆大東大 1967年創部。箱根駅伝は68年に初出場。総合優勝は75、76、90、91年の4回。往路、復路とも4回優勝。出雲駅伝は優勝1回(90年)、全日本大学駅伝は73年の初優勝以来7回制し、90年度には史上初の学生駅伝3冠を達成。長距離部員は41人。タスキの色はライトグリーン。主なOBは88年ソウル五輪長距離代表で拓大元監督の米重修一、2016年リオ五輪男子マラソン代表の佐々木悟(旭化成)。

 ◆戦力分析
 前回は序盤から波に乗れず、区間10位以内も1人だけと苦戦し16位に沈んだ。今季も全日本大学駅伝予選会敗退などがあったが、奈良監督は「箱根だけに合わせてやってきた。前回以上の戦力は間違いなくそろっている」と自信を見せる。

 「5、6区は計算できる。特に6区は監督に就任してから一番いいタイムが出そう」と指揮官は“山の大東”再現も予感する。山にシード圏内でつなぐためにもポイントは4区。前回16位の経験者で奈良監督の長男・凌介は今季1万メートルでも自己記録を更新しており、勢いそのままに上位で運ぶ可能性は十分だ。

スポーツ

×